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2008年05月12日
[ クラシック ]
自動演奏ピアノのためのサーカスギャロップ
表題の曲をニコ動で見て衝撃を受け、ほぼ中毒になったので、少し調べてまとめた。
とりあえずこれを見てください(アカウントフリーのはてブのほうにリンク)。
はてなブックマーク - 自動演奏ピアノのためのサーカスギャロップ【MIDI譜面】復活版!‐ニコニコ動画(SP1)
http://b.hatena.ne.jp/entry/http%3A//www.nicovideo.jp/watch/sm2109532
タグに「もうだめカンタービレ」ってのがあって爆笑したんだけど、これはマルカンドレ・アムラン(Marc-André Hamelin)作曲の『自動演奏ピアノのためのサーカスギャロップ(Circus Galop for Player Piano)』(1991-94)。この真っ黒な譜面をMIDIで打ち込むなんて考えただけでも発狂しそうだ。表題にもあるとおり、そもそもこれは人間が弾くための曲ではないんだそうで、自動演奏ピアノ=player pianoという耳慣れない楽器(ある意味そのまんま)で演奏することを前提に作られた曲なんだって。実際にplayer pianoが同曲を弾いている映像がYouTubeにあるので、こっちを貼っておきます。
そもそも、player pianoが何なのって話。Wikipediaにはまだ日本語の項目がないのでアレなんだけど、構造を比較的分かりやすく解説しているページがあった(ちょっとしたFlashで音が出ます)。
Player Piano Mechanism
http://www.koehler.me.uk/animation/piano_with_p.html
The Player Piano and Popular Music, November, 2007
http://parlorsongs.com/issues/2007-11/thismonth/feature.asp
穴の開いた、紙(!)の巻き物をセットして回転させると、穴の開いている部分から空気が入るタイミングでバルブが開閉して、ハンマーが動く、という仕組みらしい。引き続きYouTubeから、1916年製のplayer pianoの実機デモの動画を。もっと分かりやすいです。
これは文句なくかっこいい!巻き物ってのがすごいんだけど、そもそもシーケンサーの「ピアノロール」って言葉はここから来てるんだもんね。実際にその元祖ピアノロールの写真を見てみると、いわゆる「MIDIアニメ」そのものなのでよく分かる。
Adam's Pianola Page - PLAYER PIANO ROLL PICTURES
http://website.lineone.net/~agr/rollscan.html
はてなブックマーク - ニコニコ動画(RC2)‐【MIDIアニメ】レトロゲームメドレー【第6弾】
http://b.hatena.ne.jp/entry/http%3A//www.nicovideo.jp/watch/sm1544163
ところで、コンピューターミュージックとしてではなく、あくまでも「生音を機械を使って鳴らす」なんていうのは、例えば"Giant Steps"を演奏するロボットとか、Guitarbotとか、探すといっぱい出てくるんだけど、人間には技術的に演奏不可能な曲を機械に弾かせる、というコンセプトでplayer pianoのための曲を書いた人はどれくらいいるんだろう。少なくとも、前述アムランが最初ではないようです。コンロン・ナンカロウ(Conlon Nancarrow)が『自動ピアノのための習作(Player Piano Studies)』という連作を残しているようで、機会があれば聴いてみたい!
で、ここからがニコニコ動画の超すごいところで、『サーカスギャロップ』を初音ミクに歌わせた人がいました。
はてなブックマーク - ニコニコ動画(RC2)‐【初音ミク】 ネギギャロップ Ver.2 【つたない絵もあるよ】
http://b.hatena.ne.jp/entry/http%3A//www.nicovideo.jp/watch/sm1933945
さらに、歌った人もいました(なぜ歌った!)。
はてなブックマーク - ニコニコ動画(RC2)‐「全自動ボーカロイドのためのネギギャロップ」を全力で歌ってみた
http://b.hatena.ne.jp/entry/http%3A//www.nicovideo.jp/watch/sm1323856
テクノロジーやメカニズムっていうのはもちろんすごいんだけど、人間の想像力はその遥か上を爆走してるんだなと思った。アムランって人もそうだし、みんな狂ってる。
ちなみに『自動演奏ピアノのためのサーカスギャロップ』は、ドイツのMDGから初CD化?とのことで、4月にリリースされた"Player Piano 6"というコンピレーションに収録されているようです。この"Player Piano"シリーズでは、さっきのナンカロウの作品も多く取り上げているようで、Amazon経由で買えるみたい。
おおおおおお
ピアノロールすてき!
投稿者: 庸介 | 2008年05月12日 22:59