DJ, Techno Music Production, Manga, Illustration & Web Design
www.epxstudio.com

トップ > ブログ > frotline(ログ) > 個別の記事

« 91式TZ | メイン | DJ Sueme@954 »

[ テクノ ]

ノー・フューチャー

071208.jpgSubhead/2CBの片割れとして知られるDJ SuemeことPhil Wellsが亡くなってしまった。ああ。最近はリリースがあるのかどうかも追ってなかったのだけど、今月にもTresorでライブのブッキングがあったりして、けっこう急なことだったらしい。

なかなか大舞台に出る機会はなかったけど、日本のテクノファンには色々と馴染みの人だった。私が初めてSubheadを知ったのは98年で、R2レコードというインディーズレーベルのミックスCDに入ってた14番が最初だったと思う。この年はアナログを買い始めた年でもあって、間もなく中古で6番を買って、そこからずるずるとハマっていった。

Subhead/2CBの魅力は、何と言っても凡人の想像を超えたSEとノイズ使いで、激ファンキーなシカゴ風トラックからドープなハマり系エレクトロまでこなしてしまうところだ。何が飛び出すか分からない!これほど針を落とす瞬間が楽しいレコードはなかったなぁ。一般的には、90年代後半を席巻したCristian VogelやNeil Landstrummを中心とするNo Future一派に数えられていたけど、そこでも異端には違いなかった。Sativaeから出てる2枚とかおかしいだろ。絶対にメジャーにはなれないと思っていたし、それでも全く構わないという姿勢が曲の端々に見えていた。

思い出すのは99年?くらいにTBSラジオ深夜にやってたクラブミュージックの帯番組で、DJミックスと本人コメントが流れたことだ。20分に満たなかったと思うけど、このミックスが素晴らしかった。AMラジオであれだけアンダーグラウンドでアバンギャルドな音が流れてたというのは、今となっては信じられない。エアチェックしたテープがまだ残っているので、今度データ化しておきたい。

しょっちゅう東京のクラブにいた(らしい)Philだけど、私が本人に会ったのは一度だけ。01年か02年か、渋谷のマユリさんが出るパーティーに行ったとき遊びに来ていて、メタモのフライヤーを直接もらった。ガタイのいい、いやにニコニコしたおっさんだった。そのあと飛び入りでDJに参加して、とりあえずスクリーンに名前を出すVJの機転もあったりして、そのパーティーはすごく楽しかった。

忘れられない1枚といえばSubheadの15番。B1(015って書いてあるほう)は、もう何回かけたか分からない。Subheadには珍しい、ストレートな重い4つ打ちなんだけど、上に乗ってるグニャグニャした飛び道具がずーっとキュルキュルいってて、完全にド変態ハードミニマルになっている。
改めて振り返ると、全体的に真面目なんだかふざけているのか分からない曲ばっかりだな。ただ、それを確信犯的にやっていたんじゃないことは、後述するQ'Heyさんのブログのエントリーからも明らかになった。天才肌だったんだと思う。かといってシリアスだったり暗かったりするんじゃなく、底抜けにポジティブで明るい。端的にいえば「バカ」だ。

それにしても、50代だったとは知らなかった!渋谷で会ったときも30前後だと思ってた。大ファンだったわりには、私は何も知らない。Subheadにしても2CBにしても、discogsを見ると7割くらいは買ってるのに。
一時期はスパイスの10円/100円箱の常連だったけれど、それも数年前までの話。ほぼ、行き着くところには行き渡ったらしく、見かけることは少なくなった。Q'Heyさんも書いているとおり、彼の音はあの時代には新しすぎた。少なくとも10年は早かった。これからアナログの流通が減ってきても、データ化によって、なんとか埋もれさせないでほしいと思う。すごい良い曲、ほんとにいっぱいあるんだよ。

バカを貫いた、偉大なテクノアーティストに冥福を。

So-net blog:FLYING COW - DJ Q'HEY blog:フィルが逝った
http://blog.so-net.ne.jp/qhey/2007-12-07
Author:
R-9 (EPX studio)

プロフィールを見る

この記事は、既に更新を停止している旧ブログ"frontline"の過去ログです。
現行のブログへはトップページから。

月別の記事一覧

2006年以前の過去ログ

ページトップに戻る