2006年07月16日
[ タンゴ ]
Tango Express 2006
ダニエル・ビネリ五重奏団『タンゴ・エクスプレス』@グリーンホール相模大野へ行ってきた。6月末から一ヶ月間で全国20ヶ所以上を回っている大規模なツアー。関東近郊の公演も多く、どこに行こうか決めかねていたところ、うっかり前売りを買い逃してしまっていたのだけど、、結果的には、当日券の割には5列目のいい席がとれた。それでも、3連休の中日ということもあってか思っていたよりは入ってたみたい。
ダニエル・ビネリといえば、ピアソラの最後の六重奏団で第2バンドネオンを弾いていた人物、もとい、ピアソラ云々を抜きにしても現役では最高峰のバンドネオン奏者。御年60歳。私が聴いてきた範囲では、70年代のウーゴ・バラリスの五重奏団での"Adios Nonino"(ピアソラ本人以外による録音ではこれが最高だと思う)とか、最近のものではギタリストCesar Angeleriとのデュオのアルバム"Tango Natural"とか。なんにせよ現役バリバリで活動しているうちに生で聴けたことに感激。
ビネリ以外のメンバーについては全く知らなかったのだけど、チェロのカルロス・ノッツィはピアソラ六重奏団でホセ・ブラガートの代わりを務めた人物だったのね。でも今回、全体的にチェロは印象が弱かった。キンテートでのギターの代役として入れているのであれば、意図的に後ろへ引っ込めているのかも知れない。それにしても、もう少しソロが聴きたかったかな。
特筆すべきはコントラバスのマルティン・ケレッヒアン。上手いです。終始ピアノの低音に被せるようにリズムをキープしつつ、随所にタンゴっぽいパーカッシブなノイズを挟んでいた。
プログラム的には、間に20分の休憩を入れた11曲ずつの、計22曲。前半は古典の名曲を中心に。(やっぱり一際拍手の大きかった)"La Cumparsita"は、テンポが早くキレのある編曲。これまで、"Adios Nonino"みたいに「聴かせる」系のじーんとくる曲の方がビネリのスタイルに合っていると思っていたので、今回、スピード感のあるグルーヴィーな曲が多かったのは意外だった。後半は、自作曲やピアソラ作品を交えたモダンな構成。"Allegro Tangabile"が良かった。壮絶。こうやって、ピアソラ本人のキンテートでもあまり日の目を見なかった曲が取り上げられるのはうれしい。"Oblivion"も素晴らしかった。左手を小刻みに震わせる、あの独特の奏法は、今回全く使っていなかった気がするのだけど、最近はやってないのかな。
そのほか。ダンサーが3組出ました。正直、邪魔だからどいてほしい場面もなくはなかったけど、日本におけるタンゴダンスの人気を鑑みると仕方がないっていう。ビジュアル的な付加価値を与えないと客が入らないとしたら、それはちょっと悲しい。あと、やっぱりなんとか若い聴衆を引きつけないとダメだな。客の年齢層が、きみまろのショーよりもたぶん、もうちょっと上くらい。もー、タンゴ、こんなに面白いのに。
アンコールに至るまで、オールドファン向けの内容という印象は拭えなかったけど、私にとっては逆に新鮮だった。ますますタンゴが好きになったし、巨匠ビネリの印象もいい意味で変わった。そろそろ、後半でやってたような自作曲をこのキンテートでまとめて録音してほしいと思う。
第1部- Taconeando
- Responso
- Chique
- La Biandunga
- Palomita Blanca
- Orgullo Criollo
- Gallo Ciego
- Tango De Los Cuadros
- La Cumparsita
- Don Agustin Bardi
- Nocturna
- Payadora
- Aquellas Comparsas
- Tanguera
- Fueyazo
- Mala Junta
- Allegro Tangabile
- India Pravile
- Buenos Aires - Tokyo
- Fracanapa
- Oblivion
- Libertango
- アンコール:
- El Choclo
- Daniel Binelli Quinteto:
- Daniel Binelli (bn)
- Claudio Espector (p)
- Julio Grana (vn)
- Martin Keledjian (b)
- Carlos Nozzi (c)