サブスクリプション系サービスの感想(2016年11月)
音楽・映画・書籍など、サブスクリプション(購読)型の月額制Webサービスをいくつか契約しているので、現時点での利用してみた感想などをちょっと書いておこうと思います。最近になってSpotifyが日本市場への参入とともにCMや広告がバンバン打っている感じだったり、来年はもっと加速しそうですね。個人的にも、もうデータに関しては所有という概念がよく分からなくなっていて、要するに楽しみたいときに楽しめればいいんじゃない、という感じになりつつある。もちろん、本当に好きな作品に対しては所有欲もあるし、良いものを作っている人には投げ銭的に直接お金を払いたいというのも、それとは別にあるけれど。
【音楽】Google Play Music
去年9月にも記事を書いた通りで(Google Play Musicを試す | EPX studio blog)、なんだかんだで1年以上使っていますね。特に不満もなく、非常に満足度の高いサービスです。むしろ、もはやGPMなしには音楽生活に困るというくらい依存してしまっているかも。テクノもクラシックもこれで事足りている。
便利なのは、携帯端末のローカルにダウンロードできるところですね。聴きたいアルバムがあったらWi-Fi環境でダウンロードして、出先で移動中に繰り返し聴くみたいなパターンが多い。最近よく聴いているのは、フレデリック・ロビンソンの3年ぶりのフルアルバム『Flea Waltz』です。これは延々と聴ける。
自前の曲やDJミックスとかもGPM上のオンラインストレージに放り込んで、同じ要領で管理できるというところもいいですね。特定フォルダを選んで自動で同期みたいなこともできるし(やってないけど)。
発売日順にソートできたり、レーベル縛りの検索ができたりするともっといいんだけど、現状はこれで満足。テクノも、bandcampとかでしか出ていないマイナーなやつもけっこうある。ちなみにApple Musicは、ストリーミング再生中に止まることがあるとか、長い曲名が全部表示できないみたいなのが私にとっては致命的だったんだけど、その後改善しているのかな…。
それにしても、GPMの利用を始めてからの1年間、CD…特に中古CDをまったく買わなくなってしまった。こんなに変わるとは自分でも思っていなかったです。
【映画】Netflix
映画は、私の周りだとAmazonプライムを利用している方が多いようです。私はAmazonがあまり好きではないのと、月額650円という価格につられて9月からNetflixを試していますが、けっこう気に入ってしまいました。とにかくWebブラウザ/アプリのインターフェースが良くできていて、無駄がなく、ちょっとしたときに観てみようかなと思える。
作品はたぶんそんなに多くなく、それこそツタヤとかのレンタル店ほど広範にカバーしているということは全然なくて、偏りは感じる。それでも、逆に多すぎず厳選されているというのがこれまで映画に馴染みのなかった私にとってはいいのかも。
映画とかって、2時間なら2時間時間を取って、観るぞという意気込みになるまでが大変なんだけど、レジューム(中断)機能がうまいことできていて、途中でやめて続きを別の端末で観るみたいなこともできる。なので、観るまでの心理的ハードルが下がりました。借りたら最後まで観なきゃみたいな謎の使命感もなく、合わなかったら止めればいいかみたいな気軽さがある。
Netflixはオリジナルコンテンツが売りみたいなところもあって、そっちはまだ全然追えてません。スタンダップコメディが充実しているのが気に入っている。ルイCKとかジョー・ローガンがすごい面白かった。最近観た映画のメモみたいなのは、また別の記事に書きたい。
【書籍】note/cakes
最近『ニンジャスレイヤー』翻訳チームの母体である作家集団「ダイハードテイルズ」がnoteを始めて、「ニンジャスレイヤー」を始めとするいくつかの作品を有料・月額制のマガジンとして売り出す試みをやっています。で、もちろん応援する意味でnoteを利用し始めたのですが、けっこういい。ものすごくシンプルで、文章を読むのに集中できるところがいいと思います。
この前、noteの姉妹サービスであるところのcakesに読みたいコンテンツがあったので、1週間だけ契約して読んでみました。継続して読みたい文章があるなら、cakeも全然ありですね。逆に、Kindleは最近はあまり利用しなくなってしまいました。例のアンリミテッドの作品に対する仕打ちみたいなのが本当にイヤで、なんだかなあみたいな。
そんな感じで、利用状況は流動的ではありますが、最近利用している各サービスのざっくりした印象について書いてみました。
熊本・大分旅行
11月4日から6日にかけて、九州は熊本・大分へ旅行に行っていました。ここうさん夫妻からのお誘いで、地元に詳しいフミアキさんにプランを練っていただいて4人で。友人グループで旅行なんて久しぶりで、ましてや初の九州上陸だったこともあって、とっても記憶に残る旅になりました。3日間とも天気に恵まれたのも最高でしたね。
朝10時の便で羽田から阿蘇くまもと空港へ着くと、さっそく先の震災の爪跡がいくつも確認できた。まず、到着ロビーのトイレが地震の影響で使えない旨の表示。壁のヒビや天井の照明器具を取り外した跡のほか、構内のいたるところで復旧工事が進められているというありさま。そもそもこの空港、被害の大きかった益城町に位置するのだそうで。
レンタカーを借り、空港近くの菅乃屋さんでランチ。名物の馬肉料理がおすすめとのことで馬肉ハンバーグやカレーを食べてみたら、思ったよりもクセがなく普通に美味しかった。
市内へは向かわず、そのまま車で阿蘇方面へ。地震と阿蘇山の噴火の影響で一部通行止めの区間があるなか、高低差のある緩やかなカーブの連続で丘を越える、気持ちのいい阿蘇ミルクロードを行く。地質のせいなのか背の高い樹木がまったく生えていなくて、丘に遮られない限りずっと先まで見渡せる。道中の阿蘇スカイライン展望台、また大観峰からの眺めは絶景で、想像を絶する規模のカルデラ地形が一望できました。特に北端の断崖はボッコリと落ち込んでいて、まるでクリスタニアみたい。パラセイリングの人たちが次から次へと空を舞っていて、めっちゃ楽しそうだった。
そこから初日の目的地、黒川温泉まではわずかな距離。もっと人里離れた山深くにあるものかと思っていたら、意外にそうでもなかった。この黒川温泉、元はといえば川崎・矢向にある「志楽の湯」をプロデュースしたのが黒川「新明館」の後藤哲也さんという方で、そこでその名を知ったのでした。いつかは行ってみたいと思っていたのが、ようやく念願叶った。
部分に気をとられて全体を見失うな ~黒川温泉を再生した後藤哲学~:持続可能なまちづくり|「環境info」
http://www.kankyo-info.net/machi/eco20070618.php
今回宿泊したのは中心街を少し外れたところにある「奥の湯」。料理が素晴らしく、温泉もとても良かった!泉質としては透明度の高い無色透明で、匂いもさほど強くない感じ。夜、川風呂から空を見上げてみると、もうずっとここ何年も見ていなかったような満天の星空で圧倒された。お湯が少し温めだったので、そう長くは居られなかったことがちょっと残念。
翌朝、黒川を後にしてやまなみハイウェイを行き、途中で「やまなみ牧場」を散策。このあたりは言ってみれば牧場地帯で、車から見える範囲でも牛が放牧されているんだけど、この牧場は観光に特化した作りになっていて、ヤギやウサギやクマ(!)といった動物が飼育されていたり、ちょっとした乗馬体験ができたりする。私は牧場で飲む濃い牛乳が大好きなので、もちろん飲んでみました。
昼過ぎには由布院へ。この日の宿「はな村」に荷物を預けて、中心の通りをぶらぶらと金鱗湖方面へ歩いてみる。ここはいわば鎌倉の小町通りのような雰囲気で、デザインされた街並みと小奇麗なショップが並ぶ観光地です。土曜日日中の路上は女性客と外国人観光客(おもに韓国人)でごった返していました。同じ温泉街、しかも距離的に近いにも関わらず、黒川温泉とはあまりにも対照的…!個人的にどちらが好きかの感想は敢えて書かないけれど、まったく異なるメソッドでそれぞれに成功を収めているのが興味深かった。
金鱗湖に面したお蕎麦屋さん「泉」で遅めの昼食。今回、時期的に紅葉には早かったものの、ところどころ色づいてきてはいて写真映えした。カメラは超久しぶりにK-rを持っていきました。こんな機会でもないともうカメラ触らなくなってしまったからなあ。レンズは35mm/F2.4の単焦点のみ。4人中3人が常に一眼を手にしているという旅だったので、そういうところも楽しかった。
3日目の朝、6時半に連れだって散歩に出て再び前日の金鱗湖へ。なんでも、秋から冬にかけての早朝の時間帯のみ湖面から霧が立ち上る現象が見られるとのことで、訪れてみると思っていた以上の幻想的な光景!本当に、絶えずゆらゆらと霧が生まれてはほどなくして消えてしまうというのが繰り返されていて、不思議。
宿をチェックアウトして、久留米経由でぐるっと熊本へ戻るべく大分自動車道を一路西へ。途中、日田で高速を下りて豆田町を観光。ここは江戸時代の町並みが保存されたいわば歴史地区で、なかなかに見応えがあった。特に「草野本家」は修復中の様子も含めて18世紀の民家の様子が見学出来て、係の方が丁寧に説明してくれる。
お昼は「千屋」のうなぎ日田まぶし。これがまた立派なうなぎで、外食でこんなのもう何年も食べていなかったような感じ。今回の旅は、食に関しては本当に贅の限りを尽くしてしまい、ひとりの旅行だったらこんなこと絶対になかったなあという経験をさせてもらった。たまにはいいよね。
夕方くらいには熊本市内へ到着。最終目的地、熊本城を見学しました。とはいえ、報じられているとおり先の地震の被害が甚大だったため、近くまで寄ることはできず、隣接する加藤神社から仰ぎ見るのが精いっぱい。いやあ、大変な被害ですよこれは。
堀の石垣は広範囲に渡って大きく崩れ、城の土台部分や天守閣部分の被害も遠くからはっきりと視認できる。これ、もし本格的な復旧工事が始まるときは足場なりなんなりを組んで、全面的に覆ってしまうのだろうし、この姿は今しか見ることができないのかもしれない。それにしても、大変だなあ…。
あれこれ写真を撮るのは控えたけど、市内もあらゆるところに被害があって、マンションの一階部分が完全に潰れてしまっていたりだとか、壁の亀裂・崩壊、屋根のブルーシート、明らかに少し前まで人が住んでいた形跡のある廃屋など、けっこうショッキングだった。あれからまだ7ヶ月足らず。飛行機と宿の予約にあたっては「九州ふっこう割」を利用しました。この旅行で、わずかなりとも現地にお金を落とすことはできたかなあ。
夜の便で熊本から羽田へ帰りました。よその土地へ行くといつもぼんやりと思うのだけど、どんなに遠くともそれぞれの土地にはそれぞれの生活があって、しかも彼らはそこで完結した生活を送っていて、私が外に出ない限り自分の人生とはまったく交錯しないのだなあという、当たり前のこと。ううーん、日本は広い。
この他の写真はこちらのFlickrアルバムに。
2016-11-04,05,06 Kumamoto | Flickr
https://www.flickr.com/photos/epxstudio/albums/72157676190902316