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『シン・ゴジラ』を観た

日記2016-07-30 03:06

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立川シネマシティの極上爆音上映で、公開初日の29日に観に行ってきました。きっとすぐ予約が埋まってしまうんだろうなと思っていたら、月曜の時点で意外と空いているようだったので、早々と席を抑えていたizさんと仕事上がりで。良かった!おもしろかった。

以下、核心的なネタバレを避けつつ感想を書きますが、まだ未見で興味のある方はとりあえず読まずに見に行ったほうがいいと思います。これは映画館で観てこそのやつです。

映画『シン・ゴジラ』公式サイト
http://shin-godzilla.jp/

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ゴジラ映画でいうと、私は2年前のギャレス・エドワーズのゴジラも楽しんで観たほうで(そのときの感想)、1954年のゴジラと比べるべくはないにしても、あれはあれでいいんじゃないかと思っていました。そのうえで、いまの邦画で技術(や予算)的にあれを超えるものが作れるのかという点に対しては疑わしい目線を持っていたのですが…これはごめんなさいしないといけないね。

とにかく、ゴジラが恐ろしい。ストーリーよりも何よりも、破壊のカタルシス、人知を超えた圧倒的な暴力に対する畏怖と、しかしそこに不思議と感じてしまう「画的」な美しさに感極まってしまいました。熱線のシーンですね。ここまで無慈悲なものか…という!例のラピュタの巨神兵のカットを初めて観たときの、何とも言えない興奮が湧き上がってくる感じがありました。なぜあんなにぞくぞくと恐ろしいのにも関わらず、美しいと感じるんでしょうね。

延々と続く会議シーンの畳みかけるようなセリフの応酬は、お芝居として飽和するギリギリの間合い。全てを読み取れなくても、情報が体を突き抜けてゆく心地よさのようなものがある。ただ、さすがにあれだけ役者さんがいると演技の巧さもバラバラで、そこにちぐはぐさは感じてしまったかな。演技ですごいと思ったのは、核攻撃を容認せざるを得ないとなったときの竹野内豊のアップ。あの、いろいろな感情がない交ぜになり、かつ鬼気迫る絶妙な表情すごかったな。

よく知っている東京の都市の風景が、一切の手加減なく無残に蹂躙されていくさまは圧巻でした。というか、日本のCG技術全然イケるじゃないですか。ハリウッドに対してまったく見劣りするところはなく、むしろあちらにはない破壊と崩壊のフェティシズムをめちゃくちゃ感じました。車が吹き飛ばされる描写ひとつをとっても、描きかたが全然違うのね。それは動き自体もそうだし、画面のレイアウトがとにかく怪獣映画・特撮の文脈にあるのだろうなあ…というようことは素人にも容易に想像できる。

54年版ゴジラを初めて観たときに、ゴジラと名がつく作品において怪獣はあくまで「装置」であって、「モンスターが大暴れするというだけではまったくの片手落ち」と書いたのだけど(リマスター版『ゴジラ』 | EPX studio blog)、その意味で本作は正しくゴジラ映画なのでした。それでいて、ハリウッドのパニック・ムービーがまったく描かない価値観を、それを凌駕する映像表現で描き出している。例えば、家族を守る強い父親は出てこないし、戦いの中で生まれる男女の愛もない、お涙ちょうだいの別れのシーンもない。でも、それでいい、それがいいんだという力強さを感じる。なんかこう、ハリウッドと日本でどちらが優れているとかではなく、これは洋食と和食だ。

後半の作戦ではかなりムチャクチャなこともやっていて(電車のとこ)、そこは笑ってしまうんだけど、あそこまで突き抜けているのはエンターテイメントとして全然アリです。リアリティの追求もいいけれど、ああいう男の子の夢が暴走したような潔さ、いいじゃないですか。あの作戦を立案した責任者もすごいし、そこにもドラマがありそうだ。

「やりたいようにやれ」というのは、作中で何度も出てくるメッセージのひとつ。でいて思うのは、この作品自体が庵野総監督と樋口監督…彼らがやりたいようにやった結果である、ということの説得力ですよ。作った人の気概を感じたよ。シネマシティのa studioでは、上映終了後、自然と拍手が沸き起こりました。そりゃそうだ。

これ、事前情報がまったく伏せられていたし、このあと、というか後年に至ってどういった評価を受けるか分からないけど、今このタイミングでこそ観ておいてよかったなあと思える。クセがあるかというとそれほどでもなく、エヴァに感じる小難しさやまして衒学的なところは全然なくて、収まるべきところに話は収まる。私は、当初の期待以上に楽しめました。

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