最近観たSF映画
ここのところまた少し映画館に行く機会があったので、ネタバレを避けて感想を書いておきます。SF映画のすごいマジなやつと、はっちゃけたやつの両極端のような感じ。
エクス・マキナ
内容をチラチラ見て以前から気になっていたものの、公開している劇場が少なくて、たまたま川崎に出かける機会があった日にチネチッタのレイトショーで鑑賞してきました。チネチッタで初めて映画観たんだけど、あそこマナー注意の呼びかけめちゃくちゃ煩いね…。作品が始まる前に場内アナウンス、オリジナル啓発動画、映画泥棒と何度も同じことを言われてさすがに辟易してしまった。もう極力チネチッタでは映画観たくない…。
さて、本作はAI(人工知能)・アンドロイドを題材にした密室サイエンス・スリラー。あからさまにGoogleのような巨大検索Web企業のエンジニアとして働く主人公は、ある日社内の抽選企画に当選し、創業者の別荘にたった1人招待される。そこは人里離れた山奥の無機質な施設で、創業者が極秘裏にAIに関する研究をしていた。主人公が秘密保持契約書類にサインすると、テストと称して薄暗い研究室で待っていたのは、驚くほど人間そっくりの、しかも、完全に彼の理想通りの女性型アンドロイドだった。そのうちアンドロイドは、主人公だけにある真実を明かす。
まず導入のところが完璧で、期待通りの要素をひとつひとつ積み上げていく感じがたまらなかった。SF映画の面白さは、常々この「ロジカルな風呂敷」を広げていくプロセスと、それをどう畳むかの2点にかかっていると思っていて、この前半部分については大満足でした。Portalとかにも通じるぞくぞく感なんですよね。
でまた、オチに向かっていく過程で、いわゆる「アンドロイドものにありがちなオチ」を潰していく描写が丁寧で、感心してしまいました。そうか~このセンはないのか~みたいな。そのうえで提示されるオチ、私は納得です。これはすごくシリアスな映画で、決して安易なほうには流れないぞという意気込みを感じました。だからこそ一般受けのする大作にはなりえなかったわけですが、それでよかった。
随所で現れるAIと人間の二者の対比が鮮烈なので、そこに注目して観ているといろいろなメッセージを読み取れます。そして、タイトル通りの「AIは機械であることを超えて、人間をも超えられるか?」という問いに対して、この作品は明確な答えを出していました。
例によって、設定を考証してくとツッコミどころはたくさんあるわけですが、野暮なところはおいておくとして、寓話…それも遠い未来の夢物語ではなく、いずれ訪れる必然としてこの作品が提示する問題は非常に重いです。この手の主題に興味のある方にはぜひ観てほしい。いやほんと、これからのAI開発どうするんでしょうね。
インデペンデンス・デイ:リサージェンス
なんだか評判がいまひとつ良くないようなのですが、すごく面白かったですこれ。少なくとも、前作のノリが分かっていて観に行く人には大満足なんじゃないかなあ。作品として感動するとか価値観を変えられるとかそういうものでは全然なくて(そういうのは期待していないし逆に困る!)娯楽としてサイコーです。
立川シネマシティの極上爆音上映、しかもサウンドシステムをリニューアルしてから初めてのaスタジオでの鑑賞でした。とにかく、オープニングから地鳴りのような低音がヤバい。それでいて、耳障りな轟音というわけでもなく、すぐそこで鳴っているような解像感。極音はマッドマックスのときに散々経験していたけど、あれより確かに数段グレードアップした感じがありました。爆発音とかもいいけれど、ここで音楽映画を観てみたいなと思った。
とにかくキャラクターが多く、これだけの濃さの群像劇をあの尺に納めたこともすごいし、お話的にもあの作品の続編としてこっちの方向に舵を切ったのは妥当と思える。もちろんストーリーは完全なるご都合主義で、SF設定もガバガバなんだけど、それを含めたエンターテイメントじゃないですか、こういうのって。大規模カタストロフあり、敵地侵入ミッションあり、空中の大乱戦あり、ボス戦ありでお腹いっぱいでした。こんな作品はやっぱ映画館だね。