JD-Xiを一週間使ってみて
引き続きRoland JD-Xiネタで。PCのオーディオインターフェース代わりに常時立ち上げておくようにして、空き時間にちょこちょこと音作ったり打ち込んだりしています。だんだん手に馴染んでいくような感じで、いいですね。録った音は、そのまま無編集でSoundCloudにアップしています。SC側の容量の都合で、気分で消したりとかしそうなので直接は貼らずに、リンクだけ置いときます。テクノだったり、ドラムンベースだったり。
R-9 (EPX studio)’s stream on SoundCloud
https://soundcloud.com/epxstudio
でなんか、せっかくなので感想とか気づいたこととかを。
良いところとしては、鍵盤のタッチが好きです。ミニ鍵でよくあるペナペナした感じのでも、極端に押し込みのストロークが浅い感じでもなく、SH-201とかと比べてもほぼ違和感のないタッチです。私は別に弾ける人じゃないんだけど、それでも弾けないなりに弾きやすいなと思う。
あと感触という意味では、ツマミが素晴らしいです。AIRA系と同じような、凹凸のあるゴム製のツマミ好きなのです。直接触れる部分の作りって大事だよね。
シーケンサーの使い勝手
シーケンス組むのはほんとに簡単で、ループ鳴らしながらざくざく音を足していく感覚はまさしくgroovebox。欲しい音はひと揃い入っているので、とりあえず何か埋められるし。ただ、例によってそこから引いたり展開を作ったりというのは大変で、遊びじゃなくて実際曲を作るとしたら、JD-Xiの1台でどこまでやるかというのは悩みどころかもしれません。DAWからマルチティンバー音源として使うのか、JDで作ったオーディオクリップを組むのか、はたまた他のハードウェアとの組み合わせでどうにかするのか…。
実は大きな問題として、シーケンサーはそこまでパワフルな処理能力があるわけでもないようで、たまにヨレることがあります。鍵盤の発音が遅れることこそないとはいえ、ドラムパートで多数の音をリアルタイムで打ち込んでいると、ドタったり、そもそもTR-RECを受け付けないことがある。また、Envelopeつまみは負荷が大きいらしく(ASDRの4つのパラメータを連続的に変化させるから?)、かなりの反応の遅れを感じます。これはパラメーター・ガイドの4ページめにも断り書きがあります。
最近のTR-8やTB-3のシーケンサーと比べて気になるのは、あとはLAST STEPが設定できないことですね。それに、レングスとして1小節、2小節、4小節は設定できるものの、実は3小節が設定できないとか。ポリリズミックで変則的なウワモノを打ち込もうと思ったら、別のシーケンサーを利用するかDAWを使うかしかなさそうです。
トーンエディットの深さ
トーンエディットはほんと沼で、慣れてくると思っていた以上に作り込みができて楽しい。パネル上に出てない数多くのパラメータが、数値レベルで編集できます。前回の記事(Roland JD-Xiが来た | EPX studio blog)で触れたように、デジタルシンセパートは1パートが3つのパーシャルから構成されていて、各パーシャルのパラメータを独立して編集できるほか、エフェクトのルーティングもパートごとに設定できるようになっています。
もっと濃いのが、意外にもドラムパートなんですけど、これ各鍵盤にキックとかスネアみたいに割り当てられた26のパーシャルから構成されているんですね。で、さらにその各パーシャルは最大4つのウェーブジェネレーターを重ねられるようにできていて、その4つのウェーブそれぞれのパラメータ(フィルターとかアンプのエンベロープとか)も細かく編集できる。つまり、「ドン」というキック1音を、453種類のPCM波形から別々の4つを重ねて作り込むことも可能なのです。ちなみにこれは、デジタルシンセパートのトーンエディットで選択できる160種類のPCM波形とはまったく別のもの。
ただし、その操作はLCD画面を見ながら+/-ボタンでエディットするわけで、このあたりのドSな設計にはなんかこう…ハード使いとして燃えるものがあります。
けどまあ、そこまでしなくても、元の音がすごくいいのは間違いないです。ヘタに小細工しなくても、これだよこれっていうキックが一発でドンと出るスピード感は何物にも代えがたい。各キットに対して初めからBDが3種類、SDが4種類アサインされているのも便利で、大抵このどれかに使いたい音が入っているパターンが多いです。プリセットでよく使うのは、808キックに909ハットがバランス良く入っている「808&909 Kit2」かな。
Rolandへの要望とか
今後のアップデートでどうにかしてほしいなと思うのは、まず、前回の記事でも書きましたが、プログラムバリューの+/-ボタンをトーンセレクトの+/-と押し間違えてセーブ前のデータが飛ぶミスが頻発して困っています。これ、始めは単に慣れかなと思っていたんですが、プログラムバリューがトーンエディットのパラメータのバリューも兼ねているので、どうやっても手が行ってしまうのです。
オートセーブがベストだとは思うんだけど、保存の処理にも多少の時間がかかるのでなかなか難しそう。要はミスタッチが防げればいいので、例えばTR-8のSCALEボタンが、ミスタッチを防ぐためにアップデートで仕様が変わった(Roland 7X7-TR8 | EPX studio blog)みたいに、どうにかスマートに解決できると。
また、Twitterでサイモンガーさんも仰っていましたが、電源入れたときのデフォルトプログラムがA01なの、ちょっとMC-303とかを思い出して懐かしくはあるんだけど、普通に不便なので、ユーザーバンクの先頭(E01)か、もしくは最後に保存したプログラムの再現とかになりませんかという。Electribeみたいに、プリセット領域も上書きできるのが一番いいのですが。
いろいろありますがJD-Xi楽しいですよ。私はこれ、最高にクールなシンセサイザーだと思います。