最近観た映画から(2015年1月)
暮れから今月にかけて、DVDで借りて観た作品のメモです。ディスカスで月4枚980円の定額サービスを利用しているので、繰り越しできる分も含めるとだいたい月4~8枚というペースで今年も。これ以上借りても観きれないし、今のところちょうどいいです。
『ポンペイ(Pompeii)』
2014年に公開されたイギリス映画。言わずと知れたポンペイ山噴火を扱ったストレートな恋愛パニックアクション。リアル嗜好のHBOの『ROME』とかを観てしまったあとだと、全体的に脚色が大げさで、史実完全無視のウルトラハードモードになっていました。隕石みたいな火の玉がガンガン降ってきて破壊の限りを尽くす。ラストカットがあまりにも頭悪くて笑えるので、ここだけ逆に見てほしい。お話はタイタニックの火山バージョンです。
『ワイルドバンチ(The Wild Bunch)』
前にAsk.fmでザ・ヴァーティゴ=サンが薦めていたので観てみました。
ワイルドバンチは勧めたっけ?最高だぞ。最後にカチコミに行く時にかわす言葉が、伝説に残るほどにクールなんだ。
ドーモ!この前教えていただいた西部劇2本、とてもおもしろかったです。ありがとうございました! | ask.fm/THEVERTIGOTHENINJA
序盤、ちゃんと見ていないと誰が誰だか分からなくなったりするんだけど、中盤以降の旅の数々のシーンでだんだん登場人物のキャラが立って行き、ラストは友情…というか義理と人情を軸に、アウトローなりの美学が描かれる。盗賊団を追いかける側の描写がちょっと薄くて、もっと見たかったな。
『オール・ユー・ニード・イズ・キル(Edge of Tomorrow)』
日本のラノベ原作で話題になった2014年のトム・クルーズ主演作品。セーブポイントが遠くてムービーがスキップできないゲームの辛さに感情移入してしまった。冗長になりがちな時間ループもののお話を、うまく編集してテンポ良く繋いでいて楽しめた。最後がちょっと分かりにくくてモヤっとしてしまい、そこだけ惜しかった(あとで他の方のブログ解説記事を読んで、ようやくある程度合点がいった感じ)。
敵宇宙人の動きがエグくてとても良かった。造形だけではなく、動きで絶望感を見せるというか、こりゃダメだわみたいな。パワードスーツの無骨なデザインは好みが分かれるところだけど、私はこの作品には合っていると思います。
『サイダーハウス・ルール(The Cider House Rules)』
ずっと前に伊集院さんがラジオで薦めていたのを思い出して。良かった!大変感動して、ラストはボロボロ泣いてしまう。お話の筋としては、青年が生まれ育ったところを出て、遠く旅先で成長していくというオーソドックスなものなんだけど、大げさな脚色がなく終始落ち着いたトーンのところが好きでした。まずオープニングのカットと音楽からして名画の予感しかしないというね。
人生の美しいところも目を背けたくなるようなところも描いていて、人間の二面性に真摯に向き合っていると感じました。朴訥としてあまり感情を表に出さない主人公も、不思議と存在感のある演技で印象的。お話やシチュエーションがあからさまに感動的だったり、あるいは悲劇的だったりするわけでは全然ないんだけど、この等身大のじーんと来る感じは何なんでしょうね。いつかまた観たい。
『トランセンデンス(Transcendence)』
2014年公開のSF映画。AIに脳の全情報をアップロードしたら、という王道テーマで、思考実験としてはおもしろかったんだけど…いろいろと惜しい感じで。観終わったあとレビュー読んだら、散々な評価だったんですねこれ。確かに大したアクションはないし、テクノロジー描写も雑ではあるんだけど、私はそんなに嫌いじゃなかったです。特に中盤までの、次から次へとスケールが広がっていくあたりはがっつり引き込まれた。
まあ、これに似た主題ならもっと良いSF作品はいっぱいあるんだろうなあ。それこそ『楽園追放』のアンジェラの設定なんかもかすっているところがあるし。
『ガルシアの首(Bring Me the Head of Alfredo Garcia)』
ここからは「ニンジャスレイヤー」課題映画を3本。翻訳チームの本兌有さん、杉ライカさんのプロフィールに挙げられている映画を、ひと通り観てみることにしました。
まずは『ワイルドバンチ』と同じサム・ペキンパー監督による本作。同じ西部を舞台にしたガンアクションなんだけど、あっちが友情や連帯を描いているのに対して、こっちは、孤独なダメ男が絶望と狂気のなかで自分なりの答えを徐々に見つけていく過程が良かった。面白かった。きっかけはささいなことでも、どんどん話がややこしくなって、しかも登場人物がそれぞれの行動原理に従って動いた結果、どんどん人が死んでいくという。最後には主人公にとっての正義が貫かれるんだけど、どこか空虚なラストは、やはりニンジャスレイヤー的なのでした。
『コナン・ザ・グレート(Conan The Barbarian)』
シュワちゃんの出世作としてな映画。原作小説も読んだことないし、映画版も初めて観ました。この原作についてはブラッドレー・ボンド氏が度々言及しています。そもそも、エピソードの時系列を無視してカットアップ連載する手法も「蛮人コナン」に準ずるものなのだとか。
【ボンド】これはあの偉大な「蛮人コナン」に共通する哲学でもある。コナンが己のプリミティブな身体能力で文明人の魔術を破る時、そこには哲学的な意味合いが生まれているんだ。ニンジャスレイヤーにおいても、それは同様なんだよね。
https://twitter.com/NJSLYR/status/89003351890591745
で映画のほうは、ファンタジーなのに、だいたいのことを筋肉で解決するシュワちゃんが笑えた。忍殺の元ネタもそこかしこにあって、目立つところでは、あの蛇をモチーフにしたカルト教団は完全に「バトルクエスト・クレンチ・ユア・フィスト」で出てきたやつだね。
『デスペラード(Desperado)』
杉ライカさんが「『デスペラード』を繰り返し観ているうちにサブリミナルメッセージに気付き、ニンジャスレイヤー翻訳を開始」と書いているのがまったく意味が分からなかったんだけど、今ならすごく分かる。これは超面白かった。かっこいいシーン、おしゃれなセリフ回し、場違いなほどクールな音楽、なのにゲラゲラ笑いながら観れるという感じが、ほぼニンジャスレイヤーでした。主人公はフジキドとジェノサイドを掛け合わせたようなイメージだね。
とりあえず2回続けて観たけど、残念ながらサブリミナルメッセージは読み取れず。ただ、今後街でギターケースを見かけたら、もはや普通の目で見れなくなりそうです。キャラがほんとみんな良いんだよね。変態ナイフ男のダニー・トレホもかっこいいし、チョイ役で出てくるクエンティン・タランティーノのバックで流れる音楽も印象的。ブーブス・バンドにちょいちょい出てくる「ブシェーミじみた男」のスティーヴ・ブシェミも出てくるよ。これがまたいい役なんだ!