パイプオルガンコンサート2014@青葉台キリスト教会
昨日たまたまTwitterを見ていたら、鈴木優人さんご本人による告知でコンサート情報を知り、地元ということもあり出かけてきました。そもそも青葉台のあんな駅の近くに教会があることも初めて知った次第で、ましてや、ガルニエ社製オルガンがあって、ときどきコンサートを開いているなんていうことも。
教会はまったく馴染みがないし、どういう感じのところかと思ったら、ちょっと大きめの小奇麗な住宅を改装したような雰囲気で、オルガンの設置されている集会所(と言っていいのか分からないけれど、礼拝堂ですね)が4階に。台風が迫るあいにくの天候のなか、140名の定員が満席になるほどの集客でした。
オルガンは、ミューザ川崎のような巨大なものではなくて、横2m、縦3m弱くらいの大きさ。一段鍵盤とペダル鍵盤がある。解説によると、95年4月にマルク・ガルニエ氏によって完成されたもので、今年も息子さんが来てこのコンサートのために調律をされたとのこと。
さて、この日の演奏曲目は、バッハのクラヴィーア練習曲集第3部から、手鍵盤のための作品全曲。つまり、プレリュードとフーガを除き、かつ21のコラール前奏曲から2段鍵盤とペダルのための曲を除いた11曲、それに4つのデュエット(BWV802-805)を加えた全15曲、1時間ほどのプログラムです。随所に優人さんによる解説があり、全体としてはとても無料のコンサートとは思えないほどのボリュームでした。
このクラスのオルガンの音色というのは、生では初めて聴いたけれど、意外に迫力のある音が出るものですね。ポジティフオルガンのようなかわいらしいコミカルな音も出るし、低音をたっぷり含んだ重厚な音も出る。音量はそんなになくても、低音が空気を満たしていくオルガンならではの響きというのを、あの広さの空間で感じられたのは新鮮でした。ストップ操作によっては、金属弁がビリビリ震えるような独特の倍音を含んだ音も。
オルガン・コラールは、厳粛とした雰囲気を漂わせつつも、聴いてみるとキャッチーなフーガの小品も多く、決してとっつきにくくない感じがバッハらしい。この曲集のなかで特に好きなのがAus tiefer~(BWV687)で、反行形や拡大形をしつこく取り入れた複雑な対位法で構成されていながら、悲壮な決意を匂わせるシリアスな雰囲気がいい。この曲は、以前シュテファン・フッソング氏がアコーディオンのレパートリーとして取り上げていて、すごく気に入りました。4つのデュエットは、近年フランチェスコ・トリスターノのレパートリーとしても定番のものです。
優人さんの演奏は、壁と一体になって設置されたオルガンに向かっているため表情こそ見えなかったものの、BCJでのときのように自在で軽やかなもので、すごく良かったです。今年は両受難曲、ロ短調ミサ、調布音楽祭と、いろいろな側面での活躍に触れる機会があってうれしい。今週末は、同じ青葉台のフィリアホールで横浜シンフォニエッタの指揮者として演奏会があるそうで、オランダにお住まいでありながら、何かと私の地元に縁があるのはちょっと不思議な感じがします。
連休の最終日、天気がアレで行楽日和とはいきませんでしたが、なかなかの気分転換になりました。