mute by mute@秋葉原重工
そういうわけで、27日土曜の「秋葉原重工」へ遊びに来ていただいた皆さま、改めてどうもありがとうございます。ここうさんとのユニット「mute by mute」のライブは、好評のうちに無事終了しました。よかったよかった。
今回、機材の量が多いということで注目していただけたようですが、あれでもかなり持ち込む量を絞ったのです。セッティングに関しては、テーブルの手配や配置の件など、重工クルーの皆さんにはお手間をおかけしました。そもそも、ガジェットシンセを愛してやまないここうさんと私に声をかけた時点で、まあこうなりますよねという。短時間ながらサウンドチェックもできて、タイムテーブルが全部オンタイムで進行して、機材トラブルもなかったというのが一番良かったです。
ここうさんが主にウワモノ、私がリズムを担当しました。ある程度までは事前に作り込んでいたものの、演奏はほぼ完全に即興でした。これは当初から決めていたことで、最低限のシーケンスや、EQ・エフェクトなどの音作りを除いては、多少ラフであってもその場で組み立てていこうと。なので、機械がいっぱいあって一見、難しそうに見えたとしても、実はやっていることはすごくシンプルだったのです。
誰にでも作れる、というのがテクノの楽しいところだと思います。「これくらいだったら自分にも作れそう」、あるいは、もし既に作っている人であれば「自分だったらこうする」みたいなことを感じてもらえると、それがいずれはまた新しい音楽へと連鎖するわけです。で、始めるともちろん、様々に乗り越えなければならない壁があるんだけど、この入り口のキャッチーさが原初のテクノの原動力であったことは間違いないし、今でも通用するハードウェアシンセならではの魅力ですよね。
ユニット名に「ミュート」という単語を入れようというのはここうさんのアイデアでした。ワッと音を出すだけではなくて、互い違いにパートミュートを重ねて、引き算で音楽を作っていくイメージは、テクノバンドらしくていいよねと。
私はいつもライブはソロばかりだったんですが、実際に初めて2人でやってみて思ったのは、この抜き差しの感覚のなかに、自分ひとりでは決して意図しないファクターが入ってくるのがすごく新鮮で楽しい。それに影響されて、私の刹那的なアイデアも動的に変化するし、その相互作用というか。スタティックな、事前に綿密に設計するようなソロライブとはまったく違う興奮がありました。
ただ、なんとなく、ここで生きてくるその人なりのセンスやアイデアというのは、継続的な個人活動のときにこそ磨かれるものであって、こればかりを短いスパンで何度もやるのは大変そうだなと思います。限られた素材による化学反応が、長くは続かないように。なので、テクノでバンド形式で活動している人たちは素直にすごいと思うし、私も今後長い目でみてまた機会があるようであれば、その時はぜひ再挑戦してみたいです。
さて、この日の「重工」は他にもライブアクトが多くて、レジデントのKURAYAMI名義でのフミアキさんのライブは、ものすごくハイファイなノイズが空間に浸透していく感じが、なんだかリッチな体験のように感じました。また、MICLODIETさんは、また違った荒々しいハードな音で。ゲストDJのホンジョウさんのシュランツは鉄板だし、個人的にはトリのアツシくんのDJが選曲的にもツボでした。宇宙がテーマの回で、Organized GreenのFabrice Ligリミックスはハマりすぎましたね!
当日はたくさん写真を撮っていただけたようですが、自分では全然撮れなかったので、雰囲気などは重工のハッシュタグ(#ahi_jp)で。いやーお疲れさまでした。