カセットテープをデジタルデータに
家にある膨大なカセットテープのアーカイブをデジタル化しておきたいというのは長年の懸案で、せっかくならいい音で残しておきたいし、かといってオーディオマニア向けのカセットデッキは要らないしというあたりで悩んでいました。主に中高年向けと思われるそういった製品はいくつか出ていて、でもそういうのって機能を見ていくとあまりにもチープだったりして。
テープ・レコード きれいに CD - カセットテープやレコードを音楽CDにするソフト
http://www.ah-soft.com/audio_kirei/
ふと見つけたこの製品も、いかにもアレな感じのパッケージだなと思っていたんですが、説明を良く見てみると意外にもけっこう良さそう。調べたところ、どうもソフト自体はドイツMAGIX社のAudio Cleaning Labという製品をローカライズしたものらしく、ノイズ消去からEQやマルチバンドコンプでの簡単なマスタリング、flacなどへのエンコードまたはCDに焼くまでひと通りのツールが揃っている。値段も、ヨドバシで9,000円切る程度だったので、とりあえず試してみようかなと思って購入しました。
ちょっと意味が分からなかったのが、この製品、「ハードウェア付き」と「USBカセットプレイヤー付き」の2種類があって、どちらも同じ価格なんですね。後者はともかく、前者は何かと思ったら、要はケーブル形状のUSBオーディオインターフェイスのことみたい。これを指してざっくり「ハードウェア」と呼ぶのはまったく意味不明でしょ。今回は、カセットプレイヤーが必要だったので後者を選びました。
実を言うと、家にはカセットプレイヤーはすでに複数台あって、単に取り込むだけならそれを使えばいい話なんですが、USB直結のほうがノイズが少なかろうという判断で。プレイヤー自体もいずれも相当に年季が入っていて、ヘッド部分のメンテなど全然していないので、これを機にプレイヤーもと思いました。
使ってみての雑感
結論から言うと、この「テープ・レコードきれいにCD」に付属するプレイヤーは、私にとってはノイズが多すぎて、ちょっと実用には耐えない感じでした。接続自体は極めて簡単で、単にUSBで繋ぐだけで音声入力デバイスとして認識してくれる。そのうえで、再生ボタンで再生したものをPC側でモニターしてみたところ、わりと特徴のある持続音がずっと鳴っていて、これなら既存の年代物のプレイヤーのほうが無音に近い。サーというより、ブーというようなノイズ。カセットを何も入れない状態で再生してもノイジーなので、これはどう考えても本体がアレな感じでした。
一方でソフトウェアのほうは、これは思っていたのよりもはるかに高機能で使いやすいもので、感心してしまいました。DAWよりも機能は絞られるものの、かゆい所に手が届く作りになっていて、波形編集画面のキーボードショートカットなども一揃いあって。マスタリングまわりも実際に試してみて、ちょうど設定が決まるとプリセットの組み合わせだけでも、ある程度まではいけそう。組み合わせた設定は保存できるので、流れ作業でもラクできる。えー、いいじゃんこれ!
それなら、ハードで拾ったノイズをソフトで消せばってことではあるんだけど、もともとの音源のノイズを消すのと、本来拾わなくていいノイズを消すのは全然別の話で。消すと言っても、もちろん音が悪くなるデメリットはあるので、工数は少ないに越したことはない。そういう意味で、いろいろと惜しい製品でした。冷静に考えれば価格なりではあると思います。
なのでまあ、ソフトウェアに関しては今後十分使いようはあって、さあプレイヤーをどうするかという問題に。本格的に録り込み作業に移る前に、もう少し吟味するかなあ。何しろ、大学生のころまでに作った音源は本当にカセットテープでしか残っていなくて、これをなんとかしたい。
8/19 22:55追記:
せっかくなので、もう少しノイズの件の検証手順を細かく書いておきます。プレイヤーがUSB給電の関係でノイズを拾っているのかと思い、セルフパワーのUSBハブ、本体側に乾電池を入れて、のいずれも試しましたが同じでした。そのうえで、今度はUSB接続を外して、電池駆動で本体のヘッドフォンジャックにてモニターしてみたところ、これも同じでした。
モーターが駆動しない状態では無音なんだけど、再生ボタンを押して本体ボリュームを上げると、ボリュームと連動してノイズが大きくなる感じ。USB接続の時も、本体のボリュームダイヤルの影響を受けるという謎の仕様により、適正音量で録音しようと思ったら必然的にノイズが加わってしまう状態です。
そして気づいたのですが、どうもこのプレイヤーそのものは、米ION社の同様の製品Ion Tape Expressの古いモデルで採用されているものとまったく同一の形状のようです。最新モデルも、デザインこそ異なるものの、操作系の配置がほぼ同じように見えるので五十歩百歩かな。ますます悩ましいね。
無線LANルーターをASUS RT-AC68Uに買い替え
自宅環境でBuffaloのWZR-450HPを使用していました。仕事に使うメインマシンは終端装置から有線で繋いでいるので、Wi-Fiに関してはとりあえず使えればいいくらいの感じで数年ほど。しかしサブ機としてSurface Pro 3を使い始めてから、スリープ復帰後に当該アクセスポイントが「制限あり」になってしまいその都度再接続を迫られるという現象が頻繁に起こり、しかもそれがルーターとの相性らしいとの情報があって、買い替えの検討を始めました(8月のファームウェア/Windows 8.1アップデートでも解消されなかった)。加えて、Bluetoothマウスが度々2.4GHz帯のWi-Fiと干渉しているようで、時折急に動きがカクカクし始めることがあり、いずれは5GHz対応のルーターを試してみたかったという事情もあります。
実は、WZR-450HPの前のもBuffaloだったんだけど、これに替えてからなぜか逆に電波が弱くなってたんです。木造の1階に親機があって、2階でなんとか繋がる程度。PCとかの掴みが強いデバイスは問題なくても、スマートフォンアプリのアップデートとか、携帯ゲーム機のダウンロードなんかはちょいちょいコケる。なんか、今出ている製品ラインナップも軒並みレビューが芳しくなく、もう無線LANルーターに関してはBuffaloやめようと思いました。
で思い出したのが、前にASUSのルーターで異様に評判がいいやつがあったなと。
Nexus 7のASUSが本気で作った無線LANルータ「RT-AC68U」レビュー、「デザインよりも性能重視、デカくてもつながる方がいい」とでも言わんばかりの完成度 - GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20140703-asus-rt-ac68u/
【清水理史の「イニシャルB」】 11ac実効700Mbps超! しかもデュアルWAN対応!! 超マニアックな無線LANルーターASUS「RT-AC68U」 - INTERNET Watch
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/shimizu/20131217_627549.html
今回、ある程度メインマシンの代替としてSurface Pro 3を活用するにあたり、安定性はもちろん速度もけっこう重要で、その観点からも折角ならハイスペックなものを採用したい。のわりには、手が届かないみたいな価格帯の製品じゃないみたいだし。
一方で、複数筋からNEC製品を薦めていただいたこともあって、WG1800HPも良さそうだなと思ってお店を当たってみたところ、タイミングなのかほぼすべてで品切れか取り寄せという状況で。おもしろいもので、こういうときに限って現行のルーターでインターネット接続が途切れるなどの不調が頻発し始めてしまい、急ぎとあって、すぐ注文できるASUSのほうを確保しました。今回はポイントの余りがあったのでソフマップのオンラインで。
Surface Pro 3との相性
昨日届いてさっそくセットアップ。結果、スリープ復帰後にAPを見失う現象は起きなくなりました。まだ確実とはいえないけど、今のところは一度も再発していません。やっぱり相性なのかー。これだけでもかなり助かる。
またBluetoothマウスとの干渉の件は、これはまだ様子見というところ。そもそも原因が特定できているわけではなくて、全然平気なときもあるしという具合なので、もしこのまま再発しなければこちらも解決です。
※8/17追記:
マウスの件はその後再発しまして、どうも電波干渉云々ではなくiBuffalo製マウス固有の問題のようです。ちなみにBSMBB17というモデル。調べてみると動作が不安定という報告がそこそこあるようで、これに関してはSurfaceもルーターも濡れ衣だったようです。
とりあえず速い
でBuffalo WZR-450HPとの速度の比較なんですけど、これは一目瞭然でした。RT-AC68Uで5GHz帯用のSSIDを設定して、Surface Pro 3上のIEで測定サイト(BNRスピードテスト)を使って実測値を比較した結果、親機から2m以内という同条件で、下り49Mbpsが147Mbpsとほぼ3倍。2階の自室では、29Mbpsが76Mbpsとこちらも2.6倍になりました。
5GHz帯は確かに電波の届く範囲が少し狭いようで、自室ではSurfaceのアンテナも5本中3本になるものの、接続は安定しているようです。これなら全然問題なさそうだし、買い替えて良かった。
セットアップも簡単で、ルーターの管理画面も(意外にも)ちゃんとローカライズされていて分かりやすかった。そんなに複雑な設定をしていないというのもありますが。NAS繋いだりとかは、後日時間ができたらやってみようかな。
Body Informありがとうございました
先の土曜日は茶箱でBody Informでした。台風が接近する折、ほかのいろいろなパーティーとも被ってしまいというなかではありましたが、参加いただいたみなさま、どうもありがとうございます。
少しでも理想的な形でテクノの楽しさを提供できればと、あれこれ工夫してはいますが、結局はパーティーを形作るファクターの大半はお客さんに委ねられているのであって、だからこそ、そこに繋げていく事前の告知の仕方にも知恵を絞っていきたいです。どうすれば届くのか。長く活動しているわりにネームバリューがあるわけでもなし、かといって露骨に営業的な活動もコンセプト的に相容れないものがあるしと、悩ましいところ。
ただ、BIに関してはそもそも「続ける」ということが前提で、私がテクノに関わり続ける以上はキープしておきたい居場所なので、浸透するまで淡々と回を重ねるのみです。パーティーとしては、具体的な次の日取りは決まっていませんが、同名のレーベルのほうでM3合わせで動いている企画があります。こちらは、いずれお知らせしていきます。
さて、通算では7回目となった今回のBIですが、前回までと同様、可能な限りフロアを暗くして暗幕で覆ったうえで、音と連動する映像を採用しました。初めてスターターをお願いしたwatさんは、静かなところから非常に抑制の効いた120bpm未満のトラックを紡いでいく形で展開。次のizさんは、前半でアグレッシブなインダストリアルだったりアシッド的な新しい一面を見せつつ、後半に向けて徐々により深いレイヤーにシフトしていきました。
フミアキさんのKURAYAMI名義のライブセットは、Machinedrumを中心にMonomachineとiPadによるPCレスの新たな試み。しかしそのシンプルな構成とは裏腹に、かなり複雑で奥行きのある、立体的な音が響いていました。SoundCloudで当日の音源が公開されているので、ぜひ聴いてみてください。KURAYAMI名義でのライブセットの公開は初めてとのことです。
LiveP.A. at BodyInform 09,Aug,2014 by KURA_YAMI
https://soundcloud.com/kura_yami/livepa-at-bodyinform-09aug2014
クローズの私のDJのプレイリストはTumblrのポストにあります。今回はわりと調子が良く、すいすい選曲が進んで楽しかったです。
余談ながら、今回のBIのキービジュアルで使用した画像を、壁紙用として公開しました。これはうちで飼っている猫…ではなくて、以前とある公園で出会った野良猫の写真です。最近はデバイスによって画面比がまちまちなので、スクエアサイズで用意しました。適宜トリミングして使ってください。
Surface Pro 3を2週間使ってみて
ここのところ仕事用メインマシンとして使うようにしていて、おおむね問題なく働いています。画面の大きさも必要十分で、慣れてしまえば全然これだけでも。まだ、外に持ち出すような使いかたはしていないのと、タブレットではなくほぼノートPCとしてしか使ってないので、そのあたりは差し引いてください。
純正タイプカバー(フタ兼用の薄型キーボード)は、慣れてきたとはいえ、やはり打鍵感のなさとレイアウトの窮屈さによるミスタイプが気になるので、がっつりコーディングするとき用に、ちゃんとしたBluetoothキーボードを買うかもしれません。場所とらないし合体ギミックはスマートだし便利は便利なんだけどね。裏側に折りたたむと無効になったり、そのあたりは普通にちゃんとしています。
意外といいなと思ったのが、Windows 8.1とOneDriveの連携。ファイル共有は、あれこれ試して暫定的にGoogleドライブを使っていたんだけど、自分の使いかたにはOneDriveが合っているみたい。ファイル単位でローカル同期する/しないを選べて、同期していないコンテンツに対しても検索とプレビューができるのがいい。シンプルながら、シビアなバージョン管理が必要なドキュメントでなければ十分。
AndroidスマートフォンのOneDriveアプリを介した写真の同期が便利で、例えば、iOSのフォトストリームと比べて枚数の制限もないし、同期チェックの間隔も短くて、思っていたよりも使い勝手がいい感じでした。写真アプリごとの画像の保存フォルダとかもまったく意識しなくてよくて、動画から何から一緒くたにOneDriveの画像>カメラロールフォルダにインデックスされるようで、この辺りは好みもあるけど、いいんじゃないかなと。
メーラーもこれを機にOutlook 2013に変えてみました。まだあれこれと調整中。今のところは問題ない程度には使えていて、せっかくなので極力これだけでメール管理を試してみたいと思います。本当はGmailのアドレス帳やGoogleカレンダーとシンクできるといいんだけど、どうも無理そうなのでそのあたりは割り切るしか。
ペンは悪くなくて、特にClip Studio Paint Proでの書き味は設定がハマるとかなりいい。ただ、画面右側がそれなりに熱を持つために、右利きで手のひらがぺったりつくとだいぶ気になるので、作業で使うには私はintuosみたいなタブレットのほうがいいです。幸いSurfaceはキーボードを取っ払うことができるので、画面の前に直タブレットみたいな。それでも、画面を直接タッチして拡大・縮小・回転ができるのが直感的で、これなら漫画原稿とかも全然いける。コミティアはこれで進めるつもりです。
さて一方で、現時点で気になる点をいくつか。
スリープ復帰後に、繋がっていたWi-Fiアクセスポイントが「制限あり」になってしまう
ルーターとの相性もあるようですが、その都度Wi-Fiを一度切って再接続というのがそこそこ面倒で困っています。前の記事でだいたい4割くらいの確率で発生すると書いたけれど、いまの実感としては7割くらい。これは海外でもメジャーな問題らしく、近々のアップデートで解消されるとも言われていますがなんとも。
Bluetoothマウスが急にカクカクになる
iBuffaloのBTマウスを使っているんだけど、おそらく2.4GHz帯のWi-Fiと干渉しているのだと思います。特に発生条件はなさそうで、たまーに忘れたころに、いきなりのタイミングで。前述の問題もあるし、5GHzに対応しているルーターに買い替えようかな。
スタート画面で止まって強制終了したことが一度だけ
ポインタは動くものの、クリックも画面タップも効かない状態になってしまって、スリープしようとしたら暗転したあと復帰もできなくなり。公式ヘルプにもある、電源ボタンとボリューム上長押しの強制終了からの再起動で事なきを得ました。なんだったのか。
8月9日はBody Informです
ぼやぼやしていてブログでの告知が遅くなってしまいましたが、8月9日(土)の夕方に、主催するテクノパーティー「Body Inform」の第7回めをやります。場所は今回も早稲田の茶箱。ご用とお急ぎでない方はぜひ一度遊びに来ていただけるとうれしいです。
"Body Inform"
2014-08-09(Sat.) 16:00-21:30
door: 2,000yen (incl. 1drink)
@音楽喫茶 茶箱 (早稲田) http://sabaco.jp
DJ:
iz (izmix)
wat (THRUST, 秋葉原重工)
R-9 (EPX studio, Body Inform)
Live:
KURAYAMI
Timetable:
16:00 - wat
17:30 - iz
19:00 - KURAYAMI (Live)
20:00 - R-9
21:30 - (party over)
http://bi.epxstudio.com/
Body Inform(BI)は、テクノという音楽に備わった根源的なエッセンスである「身体性」にフォーカスしたパーティーです。どういうことかというと話は単純で、踊ること以外の要素を極力排して、暗いフロアでいい音にひたすら没頭していただこうというコンセプトです。そのために基本的にレジデントDJは固定で、流れを重視した90分のセットの組み合わせでパーティー全体をビルドアップしていきます。
「テクノに没頭する感覚」を、どうにかもっと伝えていきたいんですよね。いわゆる一般的にいう盛り上がるパーティーって、みんなでブレイクでワーッとなって、Twitterでこの曲やばいとかって楽しさを共有して広げていくイメージだと思うんです。もちろん私もその楽しさはよく分かるしいいと思うんだけど、ことテクノに限っては、それとは違う楽しみかたが間違いなくある。それがなんというか、没頭するという感覚なんです。
言葉では説明しにくいんだけど、それは淡々とビートに体を委ねているうちに不意にふわっと訪れる瞬間、そういうものの積み重ねで。テクノを聴いて踊っている自分が、主体と客体という二者の関係性を飛び越えて、フロアに溶けて混ざっていくような感覚。そこでは日常がまったく意味を成さなくなって、ただ無心で音に集中するような。
でなんかそういうときって、私の場合、踊りながら携帯とかスマホを触りたいみたいな気分にはまったくならないんです。とにかくその瞬間が持続する限り、そこに介在する音と自分以外の要素を極力減らしたいと感じる。
BIは、デイイベントでそれを実現できるパーティーを目指しています。この感覚はきっと言葉だけではなくパーティーを続けることでしか伝えられないし、これがまた、身体から生まれ電気を介して身体へ向かっていく、テクノという音楽の本質を理解するうえで重要な要素だと考えているからです。パーティーに行っている人にはこの感覚を分かってもらえると思うし、行っていない人へはBIでの体験を通してその一片でも伝えられればと思います。
とはいえ、こういう態度はパーティー総体を通じて実現できればいいというようなもので、こちらから押し付けるようなものではなく、お客さんにはぜひ普段の通り気軽に楽しんでもらえれば。決して内輪ノリにはならないように、初めての方にも寛いでテクノを楽しんでいただけるような環境作りに取り組んでいます。現状、半年に1回ペースでの開催なので、都合がつけば遊びにきてください。