『機動戦士ガンダム』を観た
いわゆる「ファーストガンダム」。まったくの初見で、DVD全11巻からなるTVシリーズ43話を2ヶ月かかって通して観たので、ちょっとだけ感想を書いておこうと思います。結論から言って、当初思っていた以上にハマってしまい、最後までダレずに楽しめました。これはいいものだ!
そもそもの発端は、今年の初め(まさに元日)に友人のtakaukeくんに『UC』を薦められて、レンタルでUCを1話から観始めまして。で話には聞いていたんだけど、序盤からファーストガンダムを観ていることを前提とした(と思われる)固有名詞がバンバン出てきて、キャラクターの置かれた状況がまったくのチンプンカンプンで。でもまあ、それでも単体で楽しめるという話だったので、とりあえずその時点でリリースされていた6話まで観てみて、分からないなりに面白かったのです。何にせよロボットが大暴れしているのには映像作品として熱くなれるし、ストーリーも大筋では理解できるし。
ただ、ファーストガンダムを観ていればもっと楽しめるんだろうなぁ、というのがありありと分かって、悔しくなってしまったというか…それなら、UC7が公開されるまでに基礎知識としての『ガンダム』を全部観てみようと思いました。調べたら、契約しているツタヤディスカスで借りられるようで、DVD1枚に4話入っているみたいなので、まずはさわりだけでもと。
正直言うと、最後まで通して観る自信は全然なかったんです。自分が生まれたころ(79~80年)のアニメなんて、古臭くてまったく受け付けないかもしれないし、はたまた、アニメ史的なものに興味があるわけでもなかったし。
実は私は、子供のころにガンダムを通って来なかったわけではなくて、むしろ不完全なかたちで通ってきてしまった。言っても少年誌は『ボンボン』派で、どちらかというと公式二次創作とも言える「SDガンダム」文化にどっぷりでした。カードダス超集めていたし。
で、ちょうど中学生のころにテレビシリーズで『Vガンダム』が始まって、はじめは追いかけていたはずなんだけど、たぶん途中のどこかで投げ出していて。周りの友達でハマっている子がいなかった、というのも大きいかもしれない。今考えるともったいなかったね。
なので、ファーストガンダムの本筋のストーリーに関しては全くと言っていいほど予備知識がなくて、その意味では新鮮に感じました。ところどころの台詞やシチュエーションが、後の作品のなかで散々パロディとして扱われているので、脈絡のない記号としての「殴ったね」とか「坊やだからさ」というのが、バラバラに記憶されているくらいで。つまるところ、最後の最後まで、お話のネタバレなしで楽しむことができました。
各話の次回予告で、ナレーターの故・永井一郎さんの「君は生き延びることができるか」というセリフが定型句になっている通り、物語のなかで誰が死んで、また誰が生き残るかというのが重要なファクターなので、その点は無知が幸いしました。
さて、実際に観てみて驚いたのが、思っていたよりもずっと小難しいお話であること。筋書きが難解というよりは、設定が入り組んでいて、かつ全部は説明しない感じで、これ当時の子供が観て理解できたのかなあというのが最初の印象でした。でも、このあたりの演出のさじ加減が絶妙で、比較対象に出して悪いけれど、『UC』で感じた"通ぶった"イヤらしさが全然ないというか。当然知ってるよね?という感じじゃなくて、何ごとかが進行しているのを匂わせるにとどめていて、上手いなと思いました。
あと、それに関連するところでいうと、モビルスーツの名称とか全然覚えなくていいのが意外でした。それ自体は重要なことではなくて、あくまで少年少女の人間ドラマにウェイトを置いているということが、序盤の段階でよく分かった。それで、ああこれなら最後まで楽しめそうだなと。
絵とかはまあ(よく揶揄されるように)ところどころで作画もへろへろで、声優さんの演技も芝居がかって古臭いし、音楽が入るタイミングも気が抜けてしまうところもあって…そのあたりは最近のアニメ作品とは比べるべくもなく。やはりアニメも、表現手法として立派に進化しているんだなあと実感する程度には、時代性を感じてしまう部分もありました。
しかし、そんなこと以上に脚本・セリフ回しが大変に面白くてですね。どのキャラクターもすごく魅力的で、この先どうなるんだろうと思わせる力というか、普遍的な物語のパワーに感心しました。同時に、あれだけの「名言」の数々が人口に膾炙するに至った本作の魅力というのも、なんとなく理解できました。
舞台として未来の世界の話を描いているからこそ、お話自体の完成度さえ高ければ、作品の総合的な時代性を飛び越えて、作品に没入できるんだなあ、という。
中盤以降、特に主要な登場人物の死を経験するなかで、主人公たちが人間的に成長していくくだりからは、またどんどんと話に引き込まれてしまいました。でいてジオン軍が劣勢のなか投入してくる新型モビルスーツ、モビルアーマーのデザインがことごとく奇抜で、一見ダサいんだけどすごい魅力があって。いやービグ・ザムとかカッコいいよね。
お話の終盤も終盤、38話とかで初めて「ニュータイプ」という概念が登場したりして、これ、広げた風呂敷を畳めるのかなあと思っていたら、43話できっちりキレイに終わったのも良かった。なるほどそうか。これは名作と言われるわけだ。
なんというかですね、近年観たアニメ作品のように、ものすごく心が震えて感動したとかではなくて、単純に、ああ面白かった!と思いました。共通言語とか、教養としてとかいう知識としての意味だけではなく、観ておいてよかったなと。
この次に何を観るかですが、とりあえずは公開終わる前にUC7話観に行かなくちゃね。
6月7日「SBCDNB7」やります
告知です。早稲田茶箱で不定期に開催している、ドラムンベース特化型パーティー「SBCDNB」の7回目をやります。概要は例によって告知サイトにまとめましたので、そちらを見ていただくとして、ここではちょっとした補足情報を。
SBCDNB7 - 2014.6.7(Sat.)15:30-21:00
http://dnb.epxstudio.com/
2000年から始めたこの企画も、おかげさまで4年目に入りまして、毎度多彩なゲストDJとともにお送りしています。このパーティーは、とにかくドラムンベース初心者の私が茶箱の音響で心ゆくまで聴いてみたいDJを、そして遊びに来てくれるお客さんにぜひとも聴いてほしいDJを呼ぶというコンセプトでやっています。とはいえ、平均して年2回ペースとゆっくりめに活動しているため、呼びたくてもお声がけできていない方とか、まだ1度2度しか呼べていない方とか、たくさんいるんですけども。
そんな中で、極力ジャンル的には幅広く、いろいろなスタイルを紹介できるように考えています。なにしろ一口にドラムンと言っても様々ですからね。個人的には(テクノに向き合うときとは違って)シリアスにどれかひとつということではなく、ビュッフェ感覚というか。サイトのHistoryを見ていただければ、そのあたりのコンセプトは1回目から一貫していることがお分かりになるかと思います。
今回初登場がga_ck_ieさんとcolonさん。前回に引き続いての登場がどらむん町内会のDJ MAHIRUさん。そしてほぼレギュラーとしてサポートしてくれているのがlion-sanです。セットの内容はお任せしているので、当日どんな展開になるかは未知数ですが、それぞれの得意分野を踏まえると、しっとりしたキレイ系からバキバキのハード系、はたまたずぶずぶと潜っていくようなディープなものまで、色々な音が聴けるはず…です。
私自身はどういうのをかけるかというと、この前書いたような(Slick Shoota | EPX studio blog)フットワークとのあいのこみたいなトラックを中心に考えています。わりとクロスオーバーな感じで、いろんな実験ができるのがドラムンならではの楽しさかなと考えていて、そういう意味でこの4年で少しは引き出しが増えているといいのですが。
このパーティーに関して言うと、何を置いても、茶箱のサウンドシステムでというのが一番の魅力と思っていただければ。何度でも書くけれど、終わったあとびっくりするほどキーンっていう耳へのダメージがないんです。それでいて、内臓にくる低域からシャキシャキの高音、ドラムンに欠かせない抜けのいいスネアまで100%楽しめるというのは、なかなかね。自信を持っておすすめできます。
6月7日土曜、午後3時半から9時までやっていますので、気軽に遊びに来てくださいね。
ちなみに先日、Mixcloudのほうにも以前のライブ録音ミックスを上げました(R-9_-_Live@SBCDNB5_20120916 by epxstudio | Mixcloud)。割とまめにトラックリストとタイムスタンプも打ったので、よろしければ。一応SBCDNBサイトの左下からmp3のダウンロードもできます。
オランダ・バッハ協会の「All of Bach」
1921年創設の歴史ある古楽演奏団体オランダ・バッハ協会(Nederlandse Bachvereniging)による、にわかには信じがたい壮大なプロジェクトが始まっています。題して「All of Bach(バッハのすべて)」。J.S.バッハが生涯に残した全作品1080曲についての演奏記録映像と解説記事を、今後20年間(!)にわたって毎週金曜日に公開してゆくというものです。サイトは5月2日に公開され、初回の6曲と合わせて今日までの3週分、計9曲が公開されています。本気で毎週やるつもりなのか!
まずは公式の告知映像を。
作品の公開順には特に法則性はないらしく、金曜日の更新とともに公開されるようです。もちろん1080曲というのはバッハ作品主題目録番号(BWV)によるナンバリングに基づいているので、ある週は30分くらいの教会カンタータだったり、別の週は数分の鍵盤楽曲だったり、またある週は2時間超の大曲だったりするのでしょうが、いずれにせよ、本当に全曲やるつもりのようです。
例えば、今日23日に公開されたのはカンタータ146番「われらあまたの苦難をへて(Wir müssen durch viel Trübsal in das Reich Gottes eingehen)」でした。
Wir mussen durch viel Trubsal in das Reich Gottes eingehen - All of Bach
http://allofbach.com/en/bwv/bwv-146/
コンテンツは演奏映像がメインで、楽曲の詳細と演奏者、録音に関する全情報、声楽曲の場合はオリジナルテキスト全文が付いています。さらに、その曲についての指揮者または演奏者へのインタビュー映像と解説記事までがあって、これで1セット。それなりにボリュームがあります。
ちなみに、映像自体はvimeoがホスティングしていて、HDの美しい画質で観ることができます。これ、このクオリティのものが本当に無料で、煩わしい会員登録とかも一切なくて、いつでも鑑賞できていいんですかという。
サイトの説明を読むと、団体の創立100年に向けたプロジェクトの一環だそうで、それにしてもどういう理屈でこんな壮大な企画が成立するのかが不思議です。だって、例えば研究目的でいうとISMLPやパブリックドメインクラシックみたいなサイトがあって、また有志レベルではKickstarterで成功を収めたOpen Goldberg Variationsみたいなプロジェクトがある。一方で、歴史的価値のある演奏なんかはバンバン無断でYouTubeにアップロードされていて、便利ではあるものの玉石混淆だし。
このAll of Bachが今後も20年間続いていくのならば、まさに永久保存版的なバッハ作品のアーカイブになるはずで、ひとつの団体によってクオリティコントロールされた演奏記録、シンプルながらそれ自体が革命的な挑戦のように思います。
映像的に特におもしろいのがロケーションの違いで、あるときはフローニンゲンの17世紀の教会オルガン(Toccata and Fugue in D minor - All of Bach)で、またあるときは小ぢんまりとした邸宅?の一室のチェンバロだったりする(The Well-Tempered Clavier I no. 12 in F minor - All of Bach)。けれどいずれの場合も演奏、映像に一切手抜きがない。
調布音楽祭 2014にも出演されるヴァイオリニストの佐藤俊介さんは、このオランダ・バッハ協会管弦楽団のコンサートマスターだそうで、今日公開された先のBWV146の映像のなかでも弾いておられます。この曲、冒頭の2曲はチェンバロ協奏曲第1番BWV1052からの転用ですが、オルガンで聴くとまた素晴らしいですね。
とにかく、これから毎週金曜日が楽しみになります。完走(完奏)まで見届けたい!
Homepage - All of Bach
http://allofbach.com/en/
キンコーズのコピー機の中綴じ製本機能
そういえばコミティア後に書こうと思ってたことを今思い出したので唐突に。
同人誌はここ何年かずっとコピー本しか作っていません。理由はいくつかあって、まず安く済むということと、イベントのギリギリまで原稿粘りたいのと、あといかにも手作りな感じが好きで。内職っぽいことがもともと好きなんですね。
とはいえ、時間も元気も有り余っているときならいざ知らず、イベント直前の深夜とかにせっせとコピー本の製本をするのは結構な重労働なのです。それ以前に、コピーの段階でまず面付けを考えて、間違えないように両面コピーしないといけない。それが終わったら終わったで、何百回と紙を折って、順繰りにまとめてホッチキス止め。まあ通常のコミティアのときのページ数と部数でも、丁寧に作ると2時間くらいはかかるわけです。
それが先日、いつも利用しているキンコーズのコピー機で、この一連の作業を全部機械がいっぺんにやってくれるということを知りました。公式の動画があって、要領としてはまさにこんな感じです。
ページ順にまとめた原稿の束をセットすると、まずガーッとスキャンが始まって、ちょっと待っていると、コピー機からぺろっとホッチキス留めされた本が出てくる。なにこの魔法!あの、イベント前夜のよほどクリエイティブでない地味な製本作業とはなんだったのか。
ちょっと補足すると、これ自体はキンコーズに導入されているコニカミノルタのコピー機の機能なので、通常のセルフコピー代のほかに追加費用などはかかりません。製本サイズはA4/B5に対応していて、右綴じ/左綴じが選べます。最初に専用の設定ファイルを読み込んで、そのなかで必要な設定項目を選択する感じです。
さらに、表紙だけ別の紙を使いたい場合は、予め必要な部数分コピーしておいた表紙を手差しトレイにセットして、そのうえで本文原稿を専用のトレイにセットする要領です。つまり表紙だけ別の用紙にしたり、カラーコピーにしたり、あるいは余所できれいにオフセット印刷したものを持ち込んでもいいわけです。
欠点としては、コピーはコピーなので端が切れてしまう(フチなし印刷ができない)ことと、中綴じなのでページ数が多い場合はおそらく対応できないこと(表紙が最厚紙で本文16ページくらいなら余裕でした)くらいでしょうか。あと、店頭の注意書きにも書いてあるんですが、原稿をまとめてスキャンするため、あれこれペタペタと張り込みがしてあるアナログ原稿だと剥がれるおそれがあるので、一度予めコピーしておいたほうがいいとのこと。
難しそうに見えるかもしれませんが、お店に行けばコピー機の各作業台に、機能や設定方法を解説するパンフレットがあるので、それを見ながら。いつの間にか実用化されていた夢のテクノロジーに感動したので、覚え書き程度に書いておきました。
Slick Shoota
去年Strayにハマって以来、ドラムンベースとフットワーク(ジューク)のクロスオーバーが気になっているのですが、先日こんな記事を見つけまして。時間を作ってじっくり読んでみたら、ものすごく面白かった。
Autonomic, jungle footwork and slow/fast: how drum’n’bass got its groove back ? FACT Magazine: Music News, New Music.
http://www.factmag.com/2013/08/28/autonomic-jungle-footwork-and-slowfast-how-drum-n-bass-got-its-groove-back/
2013年8月の記事。Exit Recordsを主宰するdBridgeがかつて提唱した、Autonomicというジャンル(170bpmの「半分」にあたる85bpm付近のグルーヴに重きを置いたドラムンベース)と、それに近い160/80bpmに軸足を置くフットワークとの歴史的な…といってもここ数年の話だけど、の関わりについての概説、更には周辺アーティストの紹介的な内容でした。ここに出てくる名前というのは、私のなかではバラバラに認識していたのだけど、それがひとつの文脈のなかで繋がったような感じ。音源の具体例もあって分かりやすかった。なるほどこんなことになっているのかと。
特に160/80ないし170/85という考えかたは私にとっては新鮮で、つまり、半分をとるのはダブステップが散々やり尽くしたけれど、それはもっと遅いbpm(140/70とか)での話で、私はずっとドラムンは170+と思い込んでいた。しかも、ここで出てくるbpmの2重レイヤー構造は、ハード系とディープ系の住み分けのような感じではなくて、もっと柔軟で、互いに溶け合っているようなイメージなんですね。
Exit Recordsはそうした実験の急先鋒で、それはDub PhizixとかClarityの作品で知ってはいたのだけど、今年の4月にDJ RashadとDJ Spinnの共作が出て(DJ Rashad, DJ Spinn, Alix Perez - Make It Worth (Original Mix) [Exit Records] :: Beatport)いよいよ越境も大胆になってきたんだなぁ…と思っていた矢先のRashadの訃報。
私はなんというか、フットワークに関してはまったくの門外漢で、それどころか2年前までの時点では、あまり同調的ではなかったのです。そのころにもブログに書いたことがあるけれど、「○○ネタのジューク」みたいなのの流行がまったく面白いと思えなくて。確かにあのグルーヴを発見したことは革命的だけど、真似して同じことを繰り返しても、それは単に消費だしなぁという。たとえハウスミュージックの輝かしいサンプリング文化が前提にあったとしてもですよ。
で今とかも思うのは、シカゴのイノベーターたちの音マネをするのではなくて、むしろそのエッセンスを飲み込んで自分なりに消化できているアーティストがいれば、そのほうがかっこいい。考えてみれば、かつてのデトロイトテクノなんかもそうで、初期のケンイシイはあっちの人と同じことをやって評価されたわけじゃないもんね。結果としてその人のフィルターを通してしまったら、かえって個性とかオリジナリティが色濃く出てしまうというのが、聴くにしても作るにしても理想です。
ところで、前述のStrayのミックス(Stray - FABRICLIVE Promo Mix (Jan 2014) by straydnb on SoundCloud)を聴いていたらその意味で気になる曲があって、それがSlick Shootaだったのでした。ここからが本題。
なんだこりゃって感じで、本人のSoundCloudを覗いてみたら全部こういうので。要するにビートのエッセンスとしては完全にフットワークなんだけど、もっと普通のクラブミュージック的に分かりやすくて(つまりダンスバトルで技を競うという感じではなく)、なんか音選びも硬いしテクノっぽい。気になって色々聴いていくと、ちょうど昨日20日に6曲入りEPが発売されたとかで、これがまたカッコ良くて、しかもリミキサーがまさに上のFACTの特集記事で出てきたOm UnitとAdisson Grooveという。
Slick Shootaはノルウェー(!)のアーティストだそうで、2012年ごろからあちこちのレーベルへ曲を提供しているようです。すごく気に入ったので本人のDJミックスを聴いてみると、ほとんど自分の曲と自作のリミックスばかりで、そこから先に広がらない感じがまた。これとかメチャクチャ良くて、最近家でも外でも延々と聴いています。
検索して出てきたインタビュー記事を斜め読みしてみると、この人のスタンスにすごく共感できるのです。例えばこれとか。
The thing that attracted me the most with juke and footwork though is that there aren’t any given rules, you just get on a vibe and finish a track. It doesn’t have to be super polished - it’s all about good ideas and being creative, not about having the loudest tracks.
http://hyponik.com/features/slick-shoota-satta-mixtape/
また、このあたりとか。
I hope people are thinking the same as me though with juke and footwork - be inspired, but also be original. It feels good to just try new stuff out, weird percussion or beat patterns, vocal chops etc. Not being locked into a certain sound or style, just have fun and see what comes out of it. That’s what grabbed me anyway.
http://hyponik.com/features/slick-shoota-satta-mixtape/
ひととおり公開されている曲と、また上記のようなインタビューを俯瞰して漠然と思うのは、ノルウェーのトロンハイムという地方都市で、古いマシンと古いDAW(Cubase SX3を8年使っているとか)でしこしこ作ってて"こじらせて"ないわけがないよなあと。どうも最近、過去の曲をYouTubeにもアップし始めたようで、こんなのとかも。
もしかしたら、メインストリームのジュークが好きで聴いている人にとっては邪道なのかもしれないけれど、私はこの方向性にすごく興味があります。少しピッチを上げてドラムンベースとうまくミックスしても、おもしろくなるんじゃないかなと。
コーロ・ヌオーヴォとBCJによる「ミサ曲ロ短調」
先日5月10日土曜日、東京のアマチュアの合唱団「コーロ・ヌオーヴォ」とバッハ・コレギウム・ジャパンによるJ.S.バッハ「ミサ曲ロ短調 BWV232」のコンサートへ行ってきました。指揮は鈴木優人さん。場所は王子の北とぴあ さくらホールでした。
このコンサート、以前から知ってはいたものの一般のチケットセンターでは前売りが買えないとあって、当日券があればと思って出かけてみたのですが、運よく。しかもほぼ全席自由席で、タイミングがよかったこともあって、1階のかなりいい席を確保することができた。すぐ近くの関係者席には鈴木雅明さんもいらっしゃいました。
なんでも、息子さんの優人さんがBCJを指揮するのは今回が初めてとのことで、長い目で見ればいずれは来る世代交代を見据えた機会のひとつだったようです。鈴木優人さんは、私とほぼ同年代の方で、BCJのチェンバリストとしての活動やバッハを中心としたバロック音楽の演奏だけでなく、古楽器による現代音楽グループ「アンサンブル・ジェネシス」のメンバーでもあり(新垣隆先生はジェネシスの座付きの作曲家だそうです)と、幅広く活動されている音楽家です。バロックと現代音楽って親和性が高いのか、こうした自由なスタンスで仕事をこなすアーティストが同世代に多くて、わくわくしますね。
さて、ロ短調ミサは個人的に前回聴いたのが3年前の東京カテドラル(中大混声によるロ短調ミサBWV232 | EPX studio blog)で、今回はこのときとはまったく違うコンサートホールとしての音場で楽しめるとあって、期待していました。なんと言っても管弦楽がBCJだし!
はじめ、正直なところKyrieはアレッという感じで。コーロ・ヌオーヴォは70名弱からなる合唱団なんだけど、やけに薄ーく感じてしまって、とくにテノールのおじさまたちの声量が物足りない。しかも冒頭にフーガが来るものだから各パートごとのカタさが余計に目立ってしまい、悠然としたテンポの指揮だったこともあって、これはちょっと厳しそうだなぁと。
ただ驚いたことに、この序盤の固さが曲が進むにつれてどんどんひとつになって、良くなっていくのです。これはもちろん管弦楽が素晴らしいこともあると思いますが、不思議とのびのびと、特にGloriaが始まって終曲のCum sancto spirituに至ってはオケに負けないくらい、キビキビとした勢いのある歌で感動しました。
以前『合唱ができるまで』というアマチュア合唱団のドキュメンタリーを観たのだけど、まさにそこで描かれていたような、バラバラの声がひとつになっていく過程を目の当たりにするようで、大変面白かったです。
BCJの若手声楽ソリストも素晴らしく、特にソプラノの松井亜希さん、アルトの青木洋也さんが良かったです。Agnus Dei最高だった。彼らは合唱パートには参加しないのですが、ラストのDona nobis pacemでは合唱に加わって、終演後は合唱団に向かって拍手を送っていたのが印象的な場面のひとつでした。器楽では、トラヴェルソのデュエットがすごく良かったです。
3月のヨハネ、4月のマタイに続きロ短調ミサと、思いがけずバッハの大作をBCJの演奏でたて続けに生で聴くことができました。次は7月のブランデンブルク協奏曲全曲!調布音楽祭楽しみですね。
「コミティア108」でした
こちらのブログではろくに告知もできませんでしたが、5月5日はコミティアに鏡像フーガでサークル参加してきました。例によってギリギリまで原稿をやっていて、連休らしいことは一切なく…例年この時期に参加しているクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」にも今年は行かず、せっせと漫画描いてました。
新刊は「ソノコ」で16ページ。行きがかり上、2月の本の続きを描かなければならず、なんとか最低限描きたかった要素は詰め込んだのですが、ともかく手に取っていただいた皆さまどうもありがとうございます。
CLIP STUDIOを使ったデジタル作画にも少しずつ慣れてきて、回を重ねるごとに、あれこれと小手先のワザを覚えるという、学習の段階としてはちょうど楽しくなってきたところです。今回は、いい感じの下書き用のペンが自作できたのと、フキダシペンの使いかたを覚えたのが大きかった。作業時間が大幅に短縮されて、これ紙に描いてたら絶対この期間に間に合わなかったなぁと思います。
読み返してみて、まだまだ未熟だけれども、それでも前回よりは手ごたえがありました。この感じを忘れないうちに次を描きたい。いま漫画に関してはここ数年で一番やる気あります。まあ、あってもなくてもコミティアは最優先事項なので毎回出るんですが。
それと今回は、友人のizさんとぽてきちさんにブースを手伝ってもらえて、嬉しかったです。他所のサークルに挨拶に行ったりできるのもそうなんだけど、それよりも、自分の作品を前にして何時間も衆目に晒されるという緊張感が紛れるというのが助かります。それに、音楽関係で知り合った友達に昔馴染みのコミティアを紹介できたのが嬉しかったし、それぞれに楽しんでいただけたみたいで。長丁場お疲れさまでした。
買えた本もあり買えなかった本もあり、じっくりお話できた作家さんもいれば、タイミング合わずご挨拶しそびれた作家さんには毎度不義理をしてしまいました。でも、おおむね良い感じの回でした。やっぱ即売会…というかコミティアがあるからこそ私は漫画続けられてるんだな。
16時の終了後はizさんの車で送ってもらって、エージさんwatさんと別れたあとさんごさんが合流してみんなでシズラーへ。がっつり食べました。
あそうだ、今回のコピー本制作にあたって、いつものキンコーズでちょっと驚いたことがあったので、それはまた別の記事にまとめようと思います。