「キルラキル」最襲回完成記念上映会
※ネタバレ一切なしです。あと絶賛しかないので批評ですらないです。
日記のなかで先日書いた通り、今日3月27日、運良く24話の先行上映会のチケットを取ることができたので、一足お先に観てきました。場所は新宿三丁目のシネマート新宿、21時からの回。この作品、本当にハマってしまって、最"襲"回の完成を今日まで心待ちにしていました。
Twitter / shiimai: おわった…!
https://twitter.com/shiimai/status/448967752380739584
23話終わりのあの予告にして、この今石監督のツイート。これが今朝27日の8時40分のことで、公式アカウントによればこの後、本日深夜オンエアのMBSまで放送用テープを新幹線で届けたとのこと。アニメって本当にこんなギリギリまで作っているんですね。さすがに、これは普通じゃないのかもしれないけど。
さて、20分くらい前に会場に着くと、19時からの回のお客さんたちが出ていくところで、ちょうど入れ替わりでした。エレベータで6Fへ。物販はDVD・ブルーレイとコミックス、他のグッズ類はなくて、あとは完成記念の「襲学旅行」パーカーのみという感じで。パーカー、別にいいかなと思って一度スルーしたけど、作品を観たあとに、どうしてもこの作品作った方々に敬意を表したくてチップのつもりで買ってしまいました。
そして上映。とにかく、最後の最後まで「キルラキル」の密度で、いっぱい笑っていっぱい泣いた。この感動、なんだかよく分からないけど、ものすごく楽しい作品でした。だって、23話であれだけのテンションに持って行って、グレンラガンで言うと劇場版の螺巌編のようなことは全部やって、あれ以上どうするのかってとこで、そこを24話でちゃんと超えてきたのです。信じられないでしょ。ただただ最高でした。
上映中の会場の雰囲気も良くて、歓声や笑い、拍手も自然と湧き起こるような感じで、この作品やっぱ劇場向けなんだなあと思いました。上映後、画面が暗転したあと一瞬間があって、大拍手。これはもう多分なんか、本当にありがとうの拍手ですよね。
続いて、アニプレックスの方の司会で、主要キャスト勢揃いのトークイベント。流子皐月鮮血マコ四天王にヌーディストビーチの2人に飛び入りで又郎と、声優さん総勢11名に加えて、今石監督、トリガー大塚社長、総作監すしおさん、音響監督岩浪さんが登壇されました。豪華すぎる!
キルラキルラジオずっと聴いてきたけど、実物の洲崎さんはやっぱりリアルマコでした。あと四天王、背丈とか雰囲気もほんとにキャラクターまんまなんですね。声優さんとか、この作品を観るまで全然知らなくて、でもなんか絵の力・お話の力・音楽の力のほかに、声優さん(役者さん)の声の力って凄いんだなあと、最終話を通してつくづく思いました。
今石監督は、本当に今朝の8時まで作っていたそうです。大塚さんも最終話では演出に入って、最後の最後に撮影部で完パケするまでスタジオのスタッフも残っていて、出迎えてくれたとのこと。あとすしおさんは、この作品のなかで私にとっては完全にヒーローになりました。
Twitter / sushio_: 一年半寝てる時以外はずっと絵描いてたけど絵描くのは飽きない。絵描くの大好き
https://twitter.com/sushio_/status/448671101090922496
あと、この日は登壇されなかったけど、やはり脚本の中島かずきさんの作るお話が抜群に面白かった。なんというか、記号の寄せ集めで究極のご都合主義で、思想とかじゃなくてひたすらに様式美で、なんだけど、何だかわからないけれどおもしろい。グレンラガンで分かる通り、口上の掛け合い、ことばの応酬がひたすらにボルテージを上げていくという文学で、細かいことはどうでもいいと感じる。ファン向けの伏線もちゃっかり回収して、シナリオ的にはこれ以上ないという大満足でした。
シリーズそのものの感想は、また落ち着いた頃に書くかもです(まだこの先何度も繰り返し観るし)。
トークイベントは1時間ほどあって、22時20分ごろに終了。帰りに、DVDの4巻までのすしおさんのジャケ絵の大判ポスターがランダムで配られて、私は2巻の皐月様のでした。やー、楽しかった。TRIGGERの方々、素晴らしい作品を作ってくれて、ありがとうございました。アニメ作品でこんなにわけもわからず感動したのは初めてです。
TVアニメ『キルラキル KILL la KILL』オフィシャルサイト
http://www.kill-la-kill.jp/
Tracktion 5とTB-3
DAWソフトウェアを買い替えまして、Tracktionのバージョンを4から5にしました。っていうかTracktion自体がいまひとつマイナーなのであれなんですが、今年になってメジャーアップデートがあったばかりなのです。かつてはMackie/Tapco製品にバンドルされていたDAWで、一時はほとんど更新も凍結されていたのに、昨年奇跡の復活を遂げた。詳しくは、下記のICONのインタビューが素晴らしいので、未読のかたは読んでみてください。
ICON ≫ カルト的人気を誇るDAW「Tracktion」が遂に復活! Tracktion Softwareスタッフに訊く、復活までの経緯と今後の展開
http://icon.jp/archives/4796
カルト…。私はバージョン1のころから愛用していて、LiveやAcidをちょっとかじったのを除けば、PCでの音楽制作はずっとTracktionです。軽い、分かりやすい、そしてなんと言っても安い!元から安かったけど、今回のバージョン5のダウンロード購入はフル製品版が59.99ドルで、アップグレード版が29.99ドル。VSTプラグインは最小限のものがついているだけで、シンセとかはまったくないけれど、フリーでも何でも持っていれば好きなの使えるし、編集周りはもちろんひと通りのことはできる。
Tracktionのいいところ、T5の感想
UIにちょっとクセがあって、いわゆるミキサー画面がないのです。作曲に関わる全ての操作が一画面(シングルスクリーン)で済むというのが設計コンセプトらしい。音声信号は基本的に画面左から右に流れるという考えかたで、右側のフィルターセクションが要するにミキサーにあたる部分。ここにVSTシンセやエフェクトを、信号の流れを考えて差し込んで、ボリュームやパンも調整してみたいな。
Tracktionは、ピアノロールでMIDIの打ち込みもできるんだけど、どちらかというとオーディオ編集に強いDAWという評価みたいですね。何テイクも録って選んだり切り貼りしたりとか、ショートカットも充実していて、慣れると本当に手早く作業できます。
昨年のバージョン4は、Mackieから独立して久しぶりのバージョンアップというということで、システムの内部的なアップデートが中心だったようですが、今回の5ではユーザー側のデザインが大きく変わりました。ざっくり言うとカラフルにポップになった感じ。フォントも見やすくなったし、私はかなり良いと思います、これ。カルト的な愛着は置いといて、ようやくほかの人に薦められるようになりました。
使ってみてまず驚いたのは、VSTプラグインのスキャンがめちゃめちゃ速くなったこと。単にフォルダを指定して任意のタイミングで読み込むだけなんだけど、4よりかなり速い。そして起動そのものも速くなって、やろうと思ったときにきびきびと制作に移れるなあという印象です。
地味に助かるのが、タブで複数のプロジェクトを同時に開きっぱなしにできるようになった点です。CDのマスタリングとかで、他の曲と揃えるように微調整したいときにプロジェクトを行き来するのが楽になりますね。
他にもアップデートで良くなった点が結構あるみたいで、まだ全然試してないけど、公式のFeaturesにムービーでまとめられています。LiveとかBitwigとかみたいに、ライブで使えるDAWってわけではなくて、あくまで編集用途であればけっこう良い線行ってると思うんです。もっとユーザー増えてほしいし、日本語のドキュメント増えてほしい(いちおうDTM板にスレはある)。
MIDIでTB-3を鳴らす
さて、せっかくなのでT5とAIRAを使って何かやってみようかなと思って、まずはUSBで接続したTB-3をMIDIで鳴らしたのを、ダイレクトにオーディオトラックとして録音する、というのを試してみました。
前提として、TB-3のドライバーをRolandのサイトからインストールしてあって、Tracktion側ではSettingsタブのMIDI DevicesでTB-3をEnabledにしておく必要があります。TB-3はオーディオI/Fも兼ねているので、Audio DevicesでTB-3を選択しておけば、もちろんTB-3のヘッドフォン端子で一元的にモニターできます。
まず、Track1とかを選択して、画面下部のプロパティのTrack DestinationでTB-3を指定しておきます。ここは、そのトラックをどのオーディオまたはMIDI音源に送るかという設定項目で、MIDIクリップを並べたトラックでMIDI音源を指定した場合は、そのデバイスにMIDI信号が送られます。
MIDIクリップを選択すると、プロパティパネルでMIDIチャンネルを選択できます。TB-3の場合は「2」でした。これで再生すれば、TB-3側でそのままMIDIクリップが再生されるはずです。
で今度は、これを再生と同時に別のトラックに録音します。Track2とかの空いているトラックを選びます。トラック名のすぐ下にある矢印のアイコンが、入力信号を指定するセクションなのですが、ここでTB-3からのオーディオ入力を受けます。今回は、プリセット音色「A02」のTB-303デフォルト矩形波をモノラルで録るので、Input1を選んだうえで、「R」が赤の状態になるようにクリックします。これでOK。ステレオで録るには、Number of inputsを2にして、Input1と2を選択します。
ちなみに、ここでキーボードなどのMIDIコンなどを入力デバイスとして指定すると、トラック右側のフィルターセクションに差し込んだVSTシンセなどを鳴らせます。つまり、オーディオ信号を受けるかMIDI信号を受けるか、こういう所までMIDIもオーディオも一緒くたなのが、Tracktionの特徴なのかもしれません(というか他のDAWを知らないのですが)。
この状態で、画面右下のRecボタンを押すと、Track1のMIDIクリップが走るのと同時に、Track2ではMIDIを受けたTB-3の発音を、並行してオーディオクリップとして録音します。この間、TB-3でツマミやENV MODのパッドなどをうにょうにょいじれば、もちろんオーディオクリップに反映します。シーケンスを自動再生しつつ、実際に鳴った音をオーディオとして録る。
そんな感じで録ってみたのがこれです。SoundCloudにアップしました。
モノシンセで何をやるかと考えたら、無伴奏チェロ組曲というのはおもしろいかなと。ベースマシンで鳴らすことを前提に、ピッチシフターでMIDIクリップを1オクターブ下げてます。これそのものはお遊びですが、私はバロック音楽の通奏低音をアシッド・ベースでやるというのはアリだと思っていて、このやりかたで多重録音をすれば、わりと簡単に他のバッハの曲もできそうな感じです。
TB-3のツマミの動きをオートメーションとして記録する
ローランドのサイトでTB-3のMIDIインプリメンテーション・チャートが公開されています(つまみやパッドの動きを MIDI 出力できますか? :: TB-3 :: Q&A :: サポート :: ローランド)。これを利用して、今度はオーディオクリップの録音ではなく、MIDIクリップにツマミのパラメータを重ね録りするような感じで、リアルタイムにオートメーションを描いてみます。
MIDIクリップのあるトラックの入力信号として、MIDIデバイスのTB-3を設定します。そして、画面右下のAutomation Write Modeのボタンをオンにします。これを有効化することで、接続したMIDIコントローラ(ここではTB-3)のつまみの動きをコントロールチェンジとしてMIDIクリップに書き込むことができます。Recボタンで録音を開始して、Cutoffをぐりっぐりします。
MIDIインプリメンテーション・チャートによると、CutoffのCCは74なので、MIDIクリップを選択して左上のTypeからControl Changesで74を選択、隣のControlをオンにすると、このように記録されていることが確認できます。ローランドのヘルプによると「MIDIのコントロールチェンジに置き換えられたつまみの情報は、元の情報より精度が落ちますので、受信側では元の滑らかなつまみの動きを完全に再現できない場合があります。」とありますが、少なくともこのMIDIデータをTB-3で再生する限りは滑らかに聞こえました。
以上、自分用の備忘録も兼ねて、Tracktion 5の簡単なインストラクションでした。
4月5日(土)「VERSUS@茶箱」やります
告知です。4月5日の土曜日の午後5時から10時まで、お馴染み早稲田の茶箱さんで単発のテクノパーティーをやります。今回の企画は、長年の戦友であるところのunaくん(@electine)との2人会、題して「R-9 "VERSUS" una」です。
EPX34th presents: R-9 "VERSUS" una
http://vs.epxstudio.com/
この日は自分の誕生日で、だいたい毎年、このあたりに何かしら企画を立てています。初めて茶箱で単独オーガナイズした09年のINDUSTRIALしかり、30歳の記念に同級生DJに集まってもらった80+30しかり。なんかわいわい過ごしたいんですよね。SNSでひとこと祝ってもらったりってのももちろん嬉しいんだけど、どっちかというと自分ができることで楽しんでもらいたくて。
さて、今年は何をやろうかと考えたところ、ちょっと長めのバックトゥバックをやりたいなと思って、で、テクノならまずunaくんかなと。10代のころから、もうかれこれ15年くらいの付き合いになりますが、ロングセットのB2Bはまだ多分やったことないし。
先日打ち合わせをしてきて、ある程度の具体的な範囲のすり合わせをしてきました。なにしろ、宇田川町の中古レコード全盛期に掘った(掘りすぎた)名盤をお互いに大量に持っているのを知っているだけに、あてずっぽうでカートに詰めていくわけにもいかないので。おかげで、アーティスト、レーベル、そして何より音の感触を軸に、一定の領域の絞り込みができました。
敢えて抽象的に言うと、00年代のウェルメイドな洗練されたトラックに至る前の、不器用で不格好だけれど、原石のようなテクノ。それはシカゴハウスからパワーを受け継いだものだったり、あるいはレイヴに踏み込む直前の勢いを抑制したドープなものだったり、はたまた縦ノリのミニマルの一歩手前かつ横ノリのハウスの一歩先だったり。と言っても「昔は良かった」と言うつもりはまったくなくて、そのプリミティブなパワーは今もどこかにあってしかるべきものだし、それが今のトラックとミックスできるならもっと面白いし。
なので、今回のパーティーはまずこのunaくんと私の3時間のロングセットB2Bがメインです。テクノです。とんでもない音が飛び出してきそうでまったくの未知数ですが、伊達に長い付き合いじゃないっていうか、それなりに面白いものにできる自信はあります。楽しみ!
加えて、先日好感触だったTR-8&TB-3によるライブセッションをDJのなかに組み込みます。これはあくまでもスパイス的な使いかたになるかと思いますが、茶箱の音響でがっつり楽しめる機会もまだそれほど多くないかと思いますので、ご興味のあるかたは。
さらに、ラスト1時間で久しぶりにクラシック・ハードミニマル・セットをやろうと思います。いつ以来だろう?多分、2010年にヴァイナルオンリーのDJをやったのが最後だと思うので、4年ぶりかな。最近はCDJでのbpm120台のテクノが中心で、とんとご無沙汰だったこともあって、実は前から機会を見て再開したいなと思っていました。あんな曲もこんな曲もやります。やー、この日ばかりはいいじゃないですか。
おまけのおまけで、会場限定のコピー誌を作ろうと思います。こちらは内容まったくの未定ですが、なにかマンガ的なものを。
料金もちょっとお安く1,500円1ドリンク込みにしましたので、ぜひ気軽に遊びに来てくださいね。なかなか普段できない企画だし、楽しんでいただければ嬉しいです。そんなわけで、4月5日土曜日、よろしくお願いします!
三連休のあれこれ
金土日とカレンダー通りの三連休でした。たまには日記っぽく。
金曜、『キルラキル』の「最襲回完成記念上映会」のチケットが朝10時から発売。新宿にある、300席そこそこの映画館で27日夜に2公演とのことで、まず無理かなと思いつつ時間ジャストにWebで挑んだところ、運良く21時からの回が取れてしまった!すごく嬉しい。チケットぴあの争奪戦は何度かトライしたことあるけど、サーバエラーも出ずに一発で行けたのは拍子抜けで、人気ないのかと思いきや、やはり1分足らずで完売していたらしい。ありがとうございます。
これで高まったからというわけではないんだけど、しばらく前から練習していた『キルラキル』2クールめのオープニング曲"ambiguous"をVアコーディオンで弾いたのをvimeoにアップしました。耳コピで2,3週間くらいコツコツ練習していて、いまのところはこれが限界な感じです。
でもなんというか、はじめ全くできなかったことが、毎日ちょっとずつできるようになるのが楽しい。オケはAmazonで買って(Amazon.co.jp: ambiguous: GARNiDELiA: 音楽ダウンロード)、VアコFR-1からはラインで録ってあとからミックスしました。
映像はないけど、実は『キルラキル』のOPは最初の「シリウス」もアコーディオンで弾いてます(EPX studio.clip - Vアコーディオンで『シリウス』の練習)。どんだけハマってるんだという。
夜は、izさんとさんぽて夫妻のお誘いで、久しぶりに吉祥寺の立ち飲み屋「笑門」の夜間営業通称「ヨルワラ」へ。去年の6月ぶりでした。オールドゲームの話なんかを聞きながら、朝までまったりお酒が飲める楽しいお店。
土曜、昼に起きて渋谷でunaくんと打ち合わせ。追ってここでも告知しなきゃだけど、4月5日(土)に茶箱で企画している単発パーティー、ちょっと趣向を凝らしたもので、なんだか古いテクノのレコードの話をいっぱいした。思うのは、やはり私の持っているテクノに関する知識というのは断片的で、それに対してunaくんのアーカイブが実に横断的で、話をしているといろんなところが繋がっていく。当日は、それを音でお楽しみいただけるような感じにしたいと思います。詳しくは追って。
Bunkamuraの裏手にある「松涛カフェ」ってお店でお茶したんだけど、ふっわふわのフレンチトーストのようなパンケーキが美味しかった。遅めの時間だったこともあって、あいにくフードメニューが終わってしまっていたので、今度は結構ボリューミーというトーストサンドにもトライしたい。渋谷、一人で行く店はいくらでもあるんだけど、お薦めしたい店はあんまないので、いいカフェを教えてもらった。
その足でブックオフ~イシバシ楽器~アニメイト~レコファン巡回。アニメイトでなんと、去年の暮れからずーっと探し回っていた『キルラキル』のムービック版設定資料集を発見!地元に近いアニメイトでは速攻で店頭から消えてしまったうえ、Amazonなんかでは変に高値になっていて、ほとんど諦めていたもの。内容的には、原画集には掲載されていないキャラ表などの文字通り設定資料集を、補足情報いっさいなしでただまとめたというだけのもので、いやー、最高です。なんという生き生きとした鉛筆の筆致…。噂の4話のキャラ表(お笑い回のためだけに、この回用にデフォルメしたキャラ表をわざわざ作ったという)もありました。
日曜、あったかくていい陽気なので、三か月ぶりに自転車(Escape Air)を表に出してみた。事前にひと通り簡単なメンテはしてあって、とりあえず体慣らしというか、7kmほど離れたIKEAまで。たぶんフォームを忘れていると思うんだけど、なんだかペダルは重いしお尻は痛いし。ちょっと乗らないとダメですね。帰りは川沿いをのんびりと。しかし、気持ちよかった。金曜の夜なんかだいぶ寒かったけれど、こうして三連休を挟んで、ようやくポカポカとした春が近づいてきたという感じだ。
DJでTR-8を使う
3月15日、幸運なことに、そのちょうど一週間前に出たばかりのAIRAことRoland TR-8とTB-3を、実際にクラブで使う機会がありました。場所はおなじみの早稲田の茶箱さん。この日は、プリペイド式のドリンクパスを買ってお店の常設機材の買い替えを支援するというプロジェクトに因んだ単発イベントで、たまたまDJをする機会をいただきました。普段と違ったラウンジスタイルのイベントとのことで、それなら変わったことをやってみようと。
確認したかったのは2点。TR-8、TB-3が普段行きつけのハコ(しかもレイオーディオを擁するサウンドシステム)でどう鳴るかという点と、CDJと組み合わせて使ったときの使い勝手という点です。とはいえまだ入手して一週間だし、使いこなすどころか、たいして凝ったことはできなさそうなので、あくまでも感触を確かめられればというレベルで。
機材はDJM-800にCDJ-1000MK3が2台、空いているチャンネルにTB-3をEXTERNAL INに突っ込んだTR-8を。同期は、AIRA間はMIDIで、CDJとは手動です。
まず音に関しては、ものすごく良かったです。抽象的な表現でアレですが、同じ場所で何度か機材ライブをさせてもらった経験上、自宅との環境が違いすぎるため、特にキックはイメージ通りの出音になかなかならなかったのだけど、それに比べてこんな簡単にこんな音が出ていいのかという。フロアもさることながら、ブース内のウーファーから低音がビリビリ足腰に響いて、何とも言えない昂揚感がありました。高域の鋭い感じも良くて、16分のハイハットのディケイを伸ばしたときの抜ける感じ、そしてEXT INのサイドチェインつまみの効きも気持ちいいです。
TB-3は、レゾナンスを絞ったときの太いときと、上げたときのHPFの効きの変化がダイナミックで、あまりに振れ幅が大きくて心配になるくらい。このあたりの加減は、ひたすら練習を重ねていくしかなさそうですね。
実は、事前に家で練習していた限りでは、リズムマシンだけになってしまうと物足りないというか、完成された楽曲に対して力負けしてしまうのではないかという危惧もありました。でも実際は、逆にTR-8のピュアな音がパワフルすぎて浮いてしまうというか、常に手綱を握っていかなければいけない感じで、少なくとも物足りないってことは全然なかった。そして、楽曲との間で浮き上がってくる別のグルーヴに、リアルタイムに手を入れていける楽しさは、これは新しいなと思いました。様々に言われている「楽器的」という表現は、まさにその通りだと思います。
同期に関していうと、CDJに慣れている人なら手動でも全然いけます。トリッキーなビートを混ぜる場合でも、モニタしているときだけ4分でハットでも叩いておけばいいわけだし。ただ、FINEで0.1bpm刻みで微調整できるかなと思っていたのが、これはちょっと使い勝手が難しくて、ビートマッチングの微調整で使うには刻みが大きすぎる。基本は、CDJ側で合わせる方が早いし、当然ながらMIDIで同期できるならそれが一番ラクではあります。
DJを聞いていただいた方からの反応も良くて、試してみてよかったです。イベント終了後は、みんなでAIRAを囲んでひとしきり音を出したりとか。店主のエージさんのツイートからの引用です。
ファーwwwwwTR-8のキックすげえ!!!!!TB-3のベース野太いwww茶箱初AIRAですよお兄さん!!
https://twitter.com/prophet5/status/444709426469949441
やー、TR-8とTB-3、レイオーディオと無茶苦茶相性いいなぁ。というか加工されないそのままの出音だからかな。まさしく「楽器」の音だなー。
https://twitter.com/prophet5/status/444741080374730753
いやしかしこれは、おもしろい選択肢が出てきました。実際、自然にDJとして曲にミックスできるようになるには、相当に練習して経験値を積んでいかなければならないのは間違いないんだけど、そこがまさに楽器たる所以で、その過程を楽しめるかどうか。下手をすれば、DJとしてものすごく独りよがりなプレイになるコワさもあるし、何にせよ楽しみです。
上の写真はエージさんと、当日DJでも出演された204さんに撮っていただきました。
ちなみに、4月5日(土)に茶箱で開催するunaくんとの主催イベント「VERSUS」でも、DJのなかでTR-8を使う予定です。このパーティーの告知はまたしますが、ご都合のつくかたはぜひ音を聴きに来てくださいね。
EPX34th presents: R-9 "VERSUS" una - 2014-04-05 at Sabaco
http://vs.epxstudio.com/
AIRA TR-8とTB-3が届いた日
3月8日、ローランドの「AIRA」ブランドの第一弾製品としてTR-8、TB-3、VT-3が同時発売になりました。もう少し使い込んでから感想を書こうと思ったのですが、とりあえず最初に触ってみた印象などをいったん書いてみようかなと。追って別の記事で、あれこれ気づいた点や音源、それに動画を撮ったときはそういうものなどもまとめていくつもりです。以下はなんというか、取り急ぎ、的なあれです。
発売日当日の朝9時台に、予約していたイケベ楽器Power DJ's楽天市場店さんからヤマトで届きました。電子楽器関係はだいたいイケベさんで買っていますが、volcaのときもバッチリ発売日に届けていただいたし感謝です。今回のAIRAに関しては、店長の市原さんによるFacebook連動企画など、いろいろと新しい試みをされているようです。今は、次回入荷分の予約を受け付けているそうですよ。
Roland AIRA 本日発売!Roland AIRAを試奏する時にまず初めにやって欲しいこと。|PowerDJ’sBlogPlus+ - 店長の部屋Plus+
http://shop.plaza.rakuten.co.jp/dj/diary/detail/201403080000/
さっそく設置してみました。かっこいい…。ツマミとフェーダーとボタン、そして7セグ、これですよ。でいて、TR-808とTR-909、TB-303そのものの音が、電源入れて叩けばすぐに出る。90年代テクノ人間にとってみれば、これが長年の夢の実現でなくてなんなのかという。
家で普段使っているヘッドフォンで聴くと、TR-8の音の良さはすぐに分かって、とにかく労せずして欲しい音が鳴る。当然、ちゃんと作りたい曲を作るには、さらにパーカッションのバリエーションが欲しいのだけど、もう骨組みの部分はこれでいいかなと思える。特に808のキックと909のハイハットの組み合わせは、テクノ的にはすごく今風の音で、キックにコンプを強めにかければ普通に全然混ざる。パートごとにEQをいじったりしなくても、自然に混ざってくれるのは、一台で完結した楽器ならではかもしれません。
うれしい誤算がTB-3で、これ、とりあえずTR-8だけでいいかなと思っている人がいたら、多少無理をしてでもTB-3とのセットをお勧めします。すごい楽しい。なんだかもう、ただTB-303の音が出るだけのハコがこんなに楽しいのかという感じで、延々と遊べてしまう。
プリセットパターンだけで録ってみたテスト録音をTumblrに上げてみました(EPX studio.clip - TR-8 & TB-3 test)。こういうのも、USBで直で録れるのでものすごく簡単です。どうしてもパラメータ両端が知りたくてビキビキになりがちだけど、レゾナンス絞ったときの音の太さもたまらなくて、このあたりTR-8のサイドチェイン風エフェクトとキックのコンプ具合のバランスがハマると、いい感じにできそう。
どちらも、楽器としてはシンプルだと思うのです。かといって、別にこれだけを使ってアシッドハウスを作らないといけないわけでは全然ないし、どんどんアイデア次第で組み合わせてみるつもり。入出力がアナログ/USBと豊富で自由度が高いだけに、組み合わせのバリエーションが可能性としてかなりあって、自分なりの使いかたを見つけるまでには、様々な工夫のしがいがありそうです。
AIRAちゃん
すごく余談ですが、せっかくなので発売日当日の0時に合わせて記念イラストをアップしました。以前、AIRAが正式発表された翌日かなんかに、勝手に擬人化イラストを描いたところ、思いがけずいろんな方に見ていただいたようで…そのあとも断続的に4コマとか描いています。
実は描かずにたまっているネタが結構あるんだけど、発売されてしまったからには、時間があれば楽器のほうをいじりたいし、というジレンマに陥っています。どうしようかな。
バッハ・コレギウム・ジャパン「ヨハネ受難曲」
3月9日、ミューザ川崎シンフォニーホールで行われたバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)による「ヨハネ受難曲 BWV245」を聴いてきました。指揮・チェンバロに鈴木雅明氏、エヴァンゲリストにゲルト・テュルク、ソリストにジョアン・ラン、クリント・ファン・デア・リンデ、ペーター・コーイほか。
何度かブログで書いた通り(『バッハからの贈りもの』 | EPX studio blog)、私が初めてJ.S.バッハの受難曲を聴いたのはつい最近、というか今年に入ってからのことで、もちろん生のコンサートで聴くというのも今回が初めて。
これまでCDで聴いたのは、ヘレヴェッヘとコレギウム・ヴォカーレによる旧録音(1988年、Harmonia Mundi)だけで、あとはYouTubeとか。敢えてリンクは張りませんが、BCJによる2000年の同曲のサントリーホールでのコンサート映像が全編上がっていて、これがものすごく素晴らしかったです。なんというか…ぜひ検索してみてください。私は今度ちゃんとDVD探して買おうと思っています。
さて、このコンサートは、4月に予定されている「マタイ受難曲」との前売りセット券が出ていて、事前に会場で購入しました。一番安いC席なんだけど、これがミューザ川崎の好きなところで、ブロックでいうと2LAというステージ後方、両翼の最前列の位置から観ることができる。合唱よりも後ろ側だし、定位も普通じゃないとはいえ、オーケストラに加わったような臨場感はなかなか面白いです。
何より、この席だと指揮者の表情がよく見えて、どのパートにどのタイミングで何を指示しているのかがハッキリと分かる。さらに今回で言うと、オルガンの鈴木優人さんと手つきや、イエス役のバスの浦野智行さんの表情(写真左に見える、専用の台に進み出て歌う)がよく見えたのも嬉しかったです。
第1部と第2部のあいだに20分の休憩を挟んでのプログラム。少し驚いたのは、映像で観た2000年の演奏よりもずっとテンポの速い、キレのある演奏だったこと。いくつかの録音などを聴いた印象では、全体的にゆったりと、宗教的セレモニーのような静かな熱量の演奏がBCJの特色だと勝手に感じていたので、ましてや受難曲を、こんなに生き生きと躍動的に表現するなんて!
器楽はもちろんのこと、声楽の美しさに圧倒されました。エヴァンゲリストのゲルト・トゥルクさんは、映像で観た14年前よりもずっと年をとっているように見えたけれど、レチタティーヴォにおける声の美しさや安定感はまったく変わっていなくて、すごく感動した。なんでもBCJの2014年度チラシによれば、4月のマタイを最後に引退すると宣言されているそうですが、もし本当なら残念です。
声の素晴らしさといえばソプラノのジョアン・ランさんで、広いホール全体に響く圧倒的な声量と透明感が印象に残りました。特に第35曲のZerfließe, mein Herzeで、フルートとオーボエ・ダ・カッチャの上に静かに浮かび上がるような旋律。イエスの死のシーンに続いて、不思議と明るかったり勇壮な曲がいくつかあったあとで、初めて直接的に悲しみを表現している曲。
ヨハネの特長である合唱は、どれも良かった。コンサートのいいところは、頑張って集中して聴き分けなくても、複雑な多声音楽が視覚的に体感できるところだと思いました。私は第11曲のコラールがすごく好きで、対訳と併せて聴いていて実感できたのは、歌詞の1番はイエスの無実を、対して2番は自らの罪深さを明確に対比させているんですね。なんか、まだこのあたりは全然序盤なのにジーンと来てしまった。
そういえば、今回の公演は「日本語字幕付き」とあって、どうやるかと思ったら、ステージの左右、それから自分のようなステージ後方側の聴衆向けに、ステージ対面の奥に電光掲示板が設置してあって、タイミング良く字幕が切り替わる仕組みでした。安い席なので字幕は諦めていたけど、良かった。そしてつくづく、これを母語のドイツ語で楽しめるドイツ人が羨ましいなあとも。
でも合唱という意味では、コラールもいいけど、掛け合いとして出てくるユダヤ人の執拗な罵声がなんとも印象的です。「ユダヤの王万歳!」と辛辣な皮肉を浴びせかけるシーン、そしてもちろん、「十字架につけろ(Kreuzige)」「殺せ!」と叫ぶシーン、そのどれもが残酷かつものすごく美しく表現されていて、それだけにグサグサと刺さる。つまり、こういう過ちというか人間のダメさ加減はまったく他人事ではなくて、自分がダメ人間であることを実感すればするほどリアルに感じられて重いというか。
休憩込みで正味2時間半弱のコンサート、すごくあっという間に感じました。マタイに比べて、ヨハネはお話の要点がコンパクトにまとまっていて無駄がない、膨大なエネルギーが凝縮されているというイメージ。そして、白髪を振り乱して指揮をとり、そのままの勢いで自らチェンバロでコンティヌオを弾く鈴木雅明先生のエネルギッシュな姿がまた格好良かった。感動しました。
福島聡『星屑ニーナ』
全4巻の最終巻が1月に発売されていたのを見落としていて、昨日ようやく買うことができた。っていうか今、よほど売れているタイトルでない限り、一度新刊を買い逃すと書店で見つけるのは大変なんですね。同じビームコミックスでも、扱いの差が激しい。これ、長い目で見たら出版社にとっても書店にとっても良くないと思うんだけどなあ。
ともあれ、『星屑ニーナ』です。5年かかってやっと完結したそうで、おめでとうございます。福島聡さん、私は一番好きな漫画家で、単行本化されているものはほぼ全作買って読んでいて、この作品も『Fellows!』で連載が始まった当初から追いかけていた。初回はなんだか、同日に分冊で出た雑誌の両方だかに掲載されていて、普段は単行本派なのにどっちも買った記憶があります。
前作『機動旅団八福神』はたいへんな大作で、全10巻、徹底的に描き込まれた絵と重厚なストーリー、戦争、生と死、それでいてどことなくコミカルな福島漫画の集大成と言えるものでした。この最終巻にはいたく感激して、それは5年前に書いた通りなのですが(機動旅団八福神(10) | EPX studio blog)、この次に何を描くんだろうと思ったら…ものすごくポップな作品が出てきてびっくりしました。
そう、台詞回しやオノマトペが独特でユーモラスとはいえ、ここまでの福島作品は基本はシリアスな作品が多くて、何なら暴力的だったりグロテスクなシーンも出てきたりして、様々な意味で「重い」のが特徴でした。それも例えば、ビジュアル・ショックとしてのバイオレンス(ナントカの巨人とか)の対極にあるものとして、漫画表現におけるリアリズムの追求というか、作家性の表れとして用いられるバイオレンスという点で、比較的そういったものが苦手な自分でも受けいれられるような類のもの。それが魅力で。
ただ、今回の『星屑ニーナ』はそういった表現にいっさい蓋をした、ある意味で新境地といえるほどのポップなSF作品でした…表面上は。
ロボットの少年「星屑」と、ひたすら破天荒な女子高生「ニーナ」が出会う。けれど、乾電池さえあれば半永久的に動けるロボットに対して、人間には寿命がある。お話はあっという間にどんどん進んで、ニーナが死んだずっと後の世でニーナはどう語られるのか、星屑は誰と出会って、なにを学ぶのか。そして、ある理由で時間を繰り返したり、遡ったりもする中で、最終的に星屑とニーナはどういう関係性になっていくのか、というのが大まかなあらすじ。
コミカルな表現のなかに、ある通底したテーマがあるのがだんだんと分かってきて、それというのが、星屑を取り巻く人間たちの様々な愛の形なんですよね。というと、ベタに聞こえてしまうかもしれないけれど、つまりはロボットが愛を学ぶ作品なのでした。ただ思ったのは、これだけストレートなテーマだと余計に作家の個性が際立つなあということ。
『少年少女』のころから猛烈に絵が上手かったんだけど、本作ではそれが極まっていて、背景などの描写の緻密さもそうだし、何よりキャラが生き生きしていてかわいい。女の子だけじゃなくて、どうしようもない男とか、ダメなおっさんとか異常に個性的なお爺さんとか、みんな「人間らしくてかわいい」のです。
途中、ほんとどこまで行くのか、終わりがないような所へ連れて行かれそうになりましたが、きちんと着地します。そして最後はやっぱり、福島さんの漫画だなあという。
以前のコミックナタリーの特集記事が素晴らしいボリュームで、おすすめです。
コミックナタリー - [Power Push] 福島聡「星屑ニーナ」 (1/5)
http://natalie.mu/comic/pp/fukushimasatoshi
Synth Bar Episode 21へ
齋藤久師さんらによるNeuron Records主催のイベント「Synth Bar」へ行ってきました。場所は、恵比寿ガーデンプレイス38FのStudio38。saloonでやっていた時期は、結局一度も遊びに行く機会がなかったのだけど、今回は「ローランドの逆襲」というテーマで、TR-8、TB-3などのAIRAシリーズの実機が国内では初お披露目ということもあって。予約済みなので、来週にはいくらでも触れる(見込み)とはいえ、いち早く大きい音で聴きたいじゃあないですか。
19時過ぎに開演。トークセッションの第1部は齋藤さんによる各機種ごとの機能の紹介から。先だってUstreamの番組「Synth Cafe」で、ご本人によってひと通り語り尽くされた内容ではありましたが、肝心なのは持ち込みのFunktion-Oneによる出音のチェック。いきなり808のキックが素晴らしくて、これはなんというか…期待通りでした。パツパツしたアタック感も、内臓が痺れるような胴鳴り成分も、ツマミの変化がダイナミックに反映されていました。もっと延々とキックだけ聴きたかった。
続いて20時半から、会場に設置された複数台のAIRA(SYSTEM-1を除く)をお客さんが自由に試奏できるおさわりタイム。この時点でかなりの客入りで、どこも数人待ちという状況だったので、友人知人と感想を言い合ったり、展示されている高橋憲助さんによるコンセプトアートを鑑賞したり。いや、このアートワークが素晴らしくて、AIRAシリーズのパネルのソリッドなデザインをモチーフにしつつも、有機的な要素や和のテイストを取り込んだSF的なサイバー感があって、これ私も部屋に飾ったりしたいです。グッズ展開しないのかなあ。
会場のあらゆる場所から、808、909、303の音が同時多発的に絶え間なく鳴り響いているという、ありそうでなかったカオスな空間が実現していました。なかには有名人の方もちらほら。楽器の作り手と、使い手であるお客さんの双方の意気込みの相乗効果で、ものすごい熱気でした。
さて、次に後半セッションとして、ローランドの高見さんを招いてのトークとTraktor連携のデモンストレーションが行われました。この連携は本当に刺激的で、ジャストでTR-8のキックが入った瞬間はどよめきが起こるほど。まず接続がものすごくスマートで、USBで繋いでMIDIクロックを送るだけで自動的にスレーブになるし、MIDI OUTにTB-3を繋げばスルーになって、受けたTB-3はスレーブになる。オーディオ信号はTraktorから受けた信号とEXTERNAL INにつないたTB-3、そしてTR-8自身の音をマージするので、その全体に対してScatterがかけられる。BPMの追従もまったく遅れないし、なんかもう、未来でした。
最後に、ステージではNeuronメンバーによる新旧シンセサイザーを織り交ぜたインプロのライブ。その後、またひとしきりお客さん向けのフリー試奏タイムがあって、22時ごろにイベントは終了。
つくづくおもしろいなと思うのが、ローランドがこのAIRAプロジェクトを通してやろうとしている、演奏する楽器としてのハードウェアシンセサイザーの追求というコンセプトに関して、コルグの坂巻さんや高橋さんがやっていることと、根っこの部分で、向いている方向は同じに見えるんですよね。問題解決へのアプローチが、デジタルとアナログという形でまったく正反対なだけで。
RA: Korg: Outside the box
http://jp.residentadvisor.net/feature.aspx?1950
で、齋藤久師さんも仰っていたように、デジタルかアナログかという部分は全然問題にならなくて、要は手触り(フィードバック)の部分で気持ちいいかどうかなので、テクノロジーで「カベ」を超えられる限りは、あるいは両者の特色を生かす形で併用できるのであれば、どっちでもいいわけです。優れたDJが、レコードかmp3かというような不毛な議論に与しないのと同じようにね。
齋藤さんによれば1年半前には開発が始まっていたとされるAIRA、今にして思えば、volcaが電撃的に発表された去年4月の時点で既に相当進んでいたはずで、開発に関わっていたローランドのエンジニアの方々が大いに奮起したであろうことは想像に難くない。ローランドとコルグの両雄が、またもこういうクラブミュージックの分野で相対する時代に立ち会うことができて嬉しいです。まずは、3月8日のTR-8などの発売を楽しみに待っています。