アコーディオン再入門
私がRolandの電子アコーディオンFR-1を購入したのは、2009年の9月でした(Roland FR-1が来た | EPX studio blog)。あれから丸4年、実は率直に言って…まったく上達していません。私が今までに買ったシンセのうちで最も高い機材であるにもかかわらず、まさしく宝の持ち腐れというやつで。
ただこの間も、アコーディオンという楽器への興味が薄れたわけでは決してなくて、CDも買っているし、ミシュコ・プラヴィさんやシュテファン・フッソングさんのコンサートも行ってるし。RolandのVアコーディオンのイベントに至っては、毎年このブログにも書いている通りです。
一般にアコーディオンは、右手がピアノみたいな鍵盤のものと、ずらっと丸いボタンが並んだボタン式のものがあって、私が持っているのは正式にはFR-1b、後者のボタンタイプのものです。
買ってからしばらくは、右手ボタンに慣れようといろいろ触ってみて、なんとなくボタンの並びも把握して、好きなメロディを弾いたりして遊んでいました。というのも、このボタンの並びは左下に1度、右下に2度、真下に3度というように音程関係が規則的に並んでいるために、ピアノに親しんでいない人にとっては、ピアノ鍵盤よりもずっと音が取りやすいのです。
けれど、間もなくそれも行き詰まり…。専用ケースを買っていたので、ホコリを被るようなことはなかったにしても、部屋の隅で所在なく佇んでいるVアコを見るのも結構辛くて、どうしたものかなあと。
そんな中、今年行ったVアコのイベントで、Rolandがサイトで公開している入門用のガイドコンテンツが紙媒体になっていることを知り、それをもとに再び重い腰を上げてみることにしました。
V-Accordionを始めよう :: Vアコーディオン アコーディオン・電子アコーディオン :: ローランド
http://www.roland.co.jp/VA/lesson/index.html
同時に、以前書いたように楽典の勉強を初めてみたら(聴くだけ楽典入門 | EPX studio blog)、これまで分からなかったことがスッと分かるようになりました。特に、左手のベースボタンが完全五度音程で並んでいる理由とか、調やコードに対する理解とか。そうすると、アコーディオンという楽器がすごく合理的な設計になっていることが分かって、以前よりももっと興味が湧いたりして。
実は教本としては、おそらく最も普及しているアコーディオン教本である、伴典哉著『トンボ・アコーディオン教本 初・中級編』を既に持っていたのだけど、内容がいかにも古いうえに練習曲が漢字の書き取りのように退屈で、挫折していました。
それに対して、このRolandの教本(セルジオ・スカッピーニ著)は、マイナーやセブンス、交互ベースも早い段階で出てきて、練習曲が楽しかった。はじめは全然指が動かなかったところも、何日か経つと進めるようになったりして、一ヶ月くらいで修了。入門の入門とはいえ、アコーディオンで何かを通してやり遂げたのは初めてでした。
で、次に何に挑戦しようか考えるにあたり、ネックとなるのがやはり右手がボタン式であるところで、つまり日本語で書かれた教本が全然ないんですね。国内では長いことピアノ式が主流で、当然運指法もボタン式とはまったく違う。
少し調べてみると、教室で個人レッスンを受けている人以外は、フランス語の教本を使ったりしているみたい。フランス語かあ…。とはいえ、ここを我流で進めてしまうと、あとで矯正するのが大変になるのは素人でも想像に難くないので、なにかしらの指標が欲しい。
お茶の水の有名なアコーディオン専門店、谷口楽器さんでこのフランス語の教本(Manu Maugain氏による"Méthode D'Accordéon")を見つけて、やっぱ内容をみて躊躇してしまって。で、次に行ってみた渋谷のイケベ楽器鍵盤堂さんで見つけたのが、松永勇次著『おしゃれアコーディオン教本(ボタン・アコーディオン併用)入門・初級編』2010年、JARNE企画。こんな本が出ているのは知らなかった!
著者の松永氏は、NPO法人日本アコーディオン教会(JAA)の会長で、RolandのVアコの国内コンテストでも審査員を務めておられる方。内容的にも、計76ページに実践的な譜面が運指の説明付きで載っていて、自分に必要なのはまさにこれだと思って購入しました。
眠らせていた期間があまりにも長かったけれど、仕切り直して頑張ります。
またアコーディオン関連の記事は、今後このブログのなかでは「タンゴ」カテゴリーの記事として扱うつもりです。私は最終的にはタンゴがやりたくて、バンドネオンの音色が弾けるVアコーディオンを選んだので。
そういえば、誰かが「楽器の練習とは祈りを捧げるようなもの」だと言っていて(何かの文章で読んだのかな)、それを意識し始めてから練習が苦ではなくなりました。自分は無宗教だし、どちらかというと積極的な無神論者だけれど、音楽や楽器に対するあこがれは宗教的信仰心に近いようなものがあるかもしれない。作曲家マウリシオ・カーゲルの言とされる「すべての音楽家が神を信じるわけではないが、バッハを信じない音楽家はいない」という言葉を思い出す。