パイロットの「筆まかせ」
マイベストペンを求めて
私は、筆記具や画材に対してそれほどこだわりがあるほうではないのだけど、もとが不器用なうえ強烈なクセがあるだけに、悲しいことに実際に使えるアイテムが限定されてきます。クセっていうのは例えば、力の加減のしかたがヘタで、細い線で描きたいのに筆圧が強めになってしまう。ゆっくり線を引くと手が震えがちなので、途中でペン先を止めたくなくて、素早く動かしたい。中指に添える持ちかたじゃなくて薬指に添える持ちかたで、ペン軸を寝かせてしまう、などなど。
まずGペンや丸ペンなどのつけペン、ロットリングのような本格的な画材は、頑張ってはみたものの習得できず。油性の細いドローイングペン、ハイテックCなどの極細ボールペン系は、コピー用紙などで描いていて、ペンの動きを止めるとダマになってしまうのでNG。かといって、普通の筆ペンは細い線を描くのが難しい。
というので、いろいろな経緯を経て辿り着いたのが、セーラー万年筆の「再生工場 携帯ふでペン 極細」。このことは5年前にもブログに書いていますが(最強のペン、セーラーふでペン極細 : EPX studio)、以降もまとめ買いしたこのペンをずっと使い続けています。意外にインクの持ちがよく、この時買った30本がまだ使いきれていないくらいで、コストパフォーマンスもいい。
このペンの良いところは、サインペン並みのペン先の硬さと、筆ペンほどセンシティブではないにしろ筆圧の加減が効くところ、速乾性で手の位置を気にせず描ける点です。難点は、スキャナなどで取り込んで拡大すると、厳密には均一幅の線になっていない(つまりヨレている)ことがあるところと、インク残量が判りにくく急に線がかすれだすところ。しかし少なくとも、これまで触った中では最も手に馴染むペンで、特に紙に描いたときの、ボールペンのように滑るでもなく、丸ペンのように引っかかるでもない絶妙な抵抗感が気に入っていました。
筆まかせ、いいかも
で、ここからが本題。先日たまたま町田modi内の京王アートマンという文具・雑貨店で見つけた、パイロットの筆ペン新商品「筆まかせ」を試してみたところ、これが現行のペンを超えて自分の理想に近い書き味でした。
カラー筆ペン 『筆まかせ』 新発売 | プレスリリース | PILOT
http://www.pilot.co.jp/press_release/2013/07/08/post.html
独自開発のポリエステル製ハードチップのペン先により、筆使いが苦手な人でも「とめ、はね、はらい」を表現できるのだとか。確かに、ペン先は硬いのに強弱が表現できて、動きを止めてもダマにならない。ペンの動きの早さに関わらず、筆圧の加減次第でかなり細い線も書けて、インクの色も十分に黒い。ペン軸を寝かせて描いてもOKだし、上下左右どの方向に動かしてもいい。こういうペンはなかったかも。
筆ペンで知られる呉竹が「cocoiro」というブランドの商品を出していて、これを一度試してみたかったのですが、店頭に置いてあることがほとんどなくて。たぶんコンセプト的には近くて、リフィル交換式というポイントもいいなとは思っています。ただ、こればっかりは試し描きしてみないことには比べられません。
「筆まかせ」をしばらく使ってみて気になった点は、インクの乾きが若干遅いこと。セーラーのふでペンと、水性インキという点では同じなのですが、染料と顔料の違いなのかな(この違いがよく分かりません)。要するに、ちょっと右手の位置に気をつけていないと、ピッと線をなびいてしまうことがあります。
もうひとつは、使っているうちに少しだけペン先が潰れてくるところ。私の筆圧が強いせいもあってか、初めはハイテックCの0.25mmに匹敵する細い線が描けるのに、半分くらい使ったところで、微妙な加減が描線に反映されにくくなる(気がする)。おそらく、わずかな違いなのだけども。
それにつけても、この書き味はクセになりそうな感じ。セーラーのふでペンは、極細の上に細字というグレードのものがあって、これはいわゆる細めのタイプの普通の筆なのですが、強弱がつけられる点はこれに近い。でいて、あくまで硬い感触なのが不思議です。
ペン軸に小窓が付いていて、インクの残量が分かる点はすごく助かる。減りが早いような気がしたので、せっかくならまとめ買いしておこうとネットで調べたら、定価210円のところ、底値が150円のようだと判明。これはランニングコスト的にもいい感じ。
文清堂さんは、メール便だと送料無料になりました。とりあえず20本ほど箱買い。ここはまた利用したい。
【楽天市場】【メール便対応】パイロット筆ペン 筆まかせSVFM-20EF:文具の文清堂
http://item.rakuten.co.jp/bunseidou/svfm-20ef/#10001389?l2-id=pdt_shoplist_stext
同じような用途でペンをお探しの方は、お試しあれって感じで。私は、しばらくセーラーのふでペンとメインで併用していこうと思っています。