volcaが来た
先日の記事(volcaを待ちながら | EPX studio blog)でも触れたKORGのアナログシンセ、volcaシリーズがついに発売されました。発売日の23日、予約の通りPowerDJ's楽天市場店さんから届きました。Amazonなどでは、入荷が予約数を超えてしまい予約自体が強制キャンセルされたりしているようで、1次ロットはさほど多くはなさそうです。本体に刻印されているシリアルナンバーは、bassが261でbeatsが427。せっかくならキリがいい数字がよかったけど。303とか!
要領は分かっているので概ね想定の範囲とはいえ、楽しいです。遊べますこれ。ただ、近年のDAWソフトウェアなりデジタルシンセなりに慣れて、あれこれ期待してしまっていると、単体でできることの少なさ、天井の低さに戸惑うかも。基本的には、他のハードをあれこれ組み合わせて使うことで、良さが実感できるものだと思います。
何はともあれ、さっそくビデオを撮ってみたのでこちらを。
以下、あれこれと気づいた点を列記していきます。
まずvolca beatsについて。キックは非常に存在感があって素晴らしいです、言うことなし。これだけのために買ってもいいと思います。clickパラメータでアタック感を調整できますが、いわゆる909のような硬さにはならないので、レイヤーさせる音を考えたほうがいいかも。スネアはどうも評判が良くないようですが、確かにクセがあって、スターンと抜けの良い音にはならずノイジーです。
ロー・タムはキック同様腰にくる感じ。逆にハイ・タムはピッチが高すぎるので、中間が欲しかったな。ハットはgrainの値の微妙な差でかなりカラーが変わって楽しい。OHのディケイをもう少し短くできるとなお良かった。
PCM系は、いじれるパラメータがPCM speedだけなので、曲調に合わなければ無理に使うこともないかなあ。ローファイな感じは、単体で遊んでいる分には悪くはないのだけど。あるいは、パートレベルを下げてうすーく重ねてグルーヴを作るとか。個人的にはライドシンバルかリムがほしかった。
beatsの場合、モーションシーケンスはスタッター(MIDIディレイ)とPCM speedだけ記録できる仕様。せめてパートレベルにかけられれば、ノートごとのベロシティをいじる感じで複雑なパターンが作れたのに、なかなか難しい。そのスタッター機能は、普通のショートディレイと違って、かかっている間は各パートのディケイが強制的に短くされるので、きれいにかけるには少しコツが要るかも。
言ってもモノラルなので、ハットやタムを左右に振りたい場合はどうにもならないです。パラで出したい。パートレベルみたいに、パートごとにパンが設定できたら良かったな。
そしてvolca bass、これは難しいです。難しいというか、パラメータは少ないので簡単ではあるのだけど、漫然と触っていると「普通の」音になってしまう。3つあるVCOの重ねかたによっては、単に濁って聴こえてしまうこともあるし、なにしろ各VCOのレベルを調整するミキサーがないのが悩ましい。レゾナンスビキビキの気持ちのいい音や、籠ったファットなsawはすぐ出ます。そこを工夫で超えたい。
3機種あるvolcaのうち、bassにだけモーションレックがないのが想定外でした。そしてEGが、フィルターかアンプかのどちらか一方にしかかけられない。正直言って、シンセとしては制約多いほうです。燃えてきます。
VCO1~3のグルーピングは楽しいですね。グルーピング中も、各オシレータは個別にミュートできます。つまり、和音を抜き差ししてちょっとした展開が作れる。またオシレータに関しては、それぞれにアクティブステップを設定できます。これによって、例えばグループ化していない別々のシーケンスで、4ステップのループと5ステップのループを重ねたりして、ポリリズミックなパターンが作れます。ミニマリスト必須テクな感じで。
これを使って、1曲録ってみました。SoundCloudに上げています。
それにしてもほんと、アナログのツマミ変化の滑らかさは良いですね。ヘンな例えだけど、単純に解像度が上がった感じがする。これだけのことが、なぜこんなに気持ちいいのか。
しかし、問題は来月発売のkeysを買うかどうかですね。うーん。行くのか。やはり。