ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2013
今年も日本版「ラ・フォル・ジュルネ(以下LFJ)」へ行ってきました。有楽町の東京国際フォーラム一帯で、毎年ゴールデンウィークの3日間にわたって開催される、国内最大規模のクラシック音楽フェスですね。私は、震災のあった一昨年を除いて、5年ほど前から遊びに行っています。
そろそろ、LFJのコンサートにも友人知人を誘って行きたいのですが、相変わらずチケットの争奪戦が厳しくて。今年も結局、事前にフレンズ登録の先行抽選に申し込んだり、一般発売の当日10時にチケット販売サイトで延々F5押したり、みたいな(昔ながらの)あの手この手が必要でした。どうにかならないのかなぁ、これ…。当日ふらっと行っても、いい公演のそこそこの席が残っていないんじゃ、誰かを誘うにも誘いづらい。
さておき、今年の有料公演は、初日の2公演のみの参加。テーマが<パリ、至福の時>とあって、19世紀後半から現代までの、フランス・パリを中心に活躍した作曲家にフォーカスした演目が中心でした。主に古楽・バロック音楽を聴いている私には馴染みのないものばかりでしたが、なかでも興味のあったコンサートを。
まずは、フィリップ・ピエルロ率いる古楽アンサンブル、リチェルカール・コンソートによる「パリのバロック」。今回のテーマに至るフランス音楽の源流となったラモー、クープランによる作品が取り上げられました。今回、出演が予告されていたソプラノ歌手が急遽来日できなくなったとのことで、一部演目を変更して器楽のみの選曲でした。基本はヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴァイオリン2、フラウト・トラヴェルソ2、チェンバロの6人編成で、楽曲によって編成を変えつつ。
ヴィオラ・ダ・ガンバって、生でちゃんと聴いたの初めてかも。2010年にリチェルカール・コンソートのヘンデルを聴いたけど、大きいホールの後ろの方だったので。形は似ていても、チェロとは全く違う音がするのですね。力強くも軽快な低音を刻んでいて、印象的でした。
また、コレットの編曲したラモーの「未開人(Les Sauvages)」は初めて聴きました。チェンバロ曲として親しんでいたので新鮮!この曲はもともと大好きです。ムジカ・アンティクワ・ケルンの演奏がYouTubeにありました。
次に、ヴォックス・クラマンティスの「聖なるパリ」というプログラムを。これは、すべての教会音楽の(というか西洋音楽の)原形となったグレゴリオ聖歌と、それと対応する節に基づいた20世紀の宗教曲を、交互に演じてゆくという趣向が凝らされていました。取り上げられたのは、デュリュフレの「グレゴリオ聖歌による4つのモテット Op.10」と、プーランクの「悔悟節のための4つのモテット」、それにメシアンの「おお聖なる饗宴 (O Sacrum Convivium)」。
これは本当に素晴らしかったです。心の底から感動した。まず、両サイドからメンバーが1人ずつグレゴリオ聖歌を歌いながらステージに上がるという演出、続いて、揃って"Ubi caritas et amor"が歌われたときの、広がり、奥行き、立体感。単純でプリミティブな合唱が、数百年を一瞬で飛び越えて、これだけ複雑に豊かに進化するものかと思いました。
人間の声ってすごいですね。生で空気を振動させて伝わってくる、澱みない響き。聖書の節は理解できなくても、有無を言わせず迫ってくるものがありました。以前から興味のあったメシアンの作品も、協和音と不協和音を行き来しながら駆け上がっていく昂揚感を体感できました。やはり宗教音楽と声楽曲、バッハ以外ももっといろいろ聴いていきたいな。
外の広場も、例年通り賑やかでした。屋台の印度風タコライスが美味しかった。また来年!