『坂道のアポロン』の原作
先日、DVDで通して鑑賞して、いたく感銘を受けた標題作の原作コミックを読みました。小玉ユキさん作、小学館flowersフラワーコミックスαより全9巻。というかいわゆる少女マンガを買うのが初めてかもしれない。
アニメ『坂道のアポロン』 | EPX studio blog
http://www.epxstudio.com/blog/2013/0301_kids-on-the-slope.html
以前の記事で書いた通り、アニメがものすごく原作に忠実に、丁寧に作られていることが分かりました。かなり細かいエピソードやセリフ回しも、そのまま。それだけに、印象深いシーンは余裕で脳内再生されますね。まだ観てから間もないということはあるにせよ。
ボリューム的に原作コミックのほうがアニメの1クールよりもちょっと多くて、カバーしきれなかったと思しきエピソード、特にキャラクターのバックグラウンドに関する重要な話がいくつかあって、なんというか納得できました。序盤だと、千太郎がドラムを始めたきっかけとかね。
大きく違うのが8~9巻。まず、アニメでは駆け足だった三年生のエピソードが多かったのと、あとラストが、大筋では同じなのに、印象がまったく違いました。正反対と言ってもいいくらい。
ネタバレを省いて書くと、コミック版はなんかほんと単純に、ああ良かったなぁと思えるわけです。こういう大団円に繋げたい原作者の心情は、分かる気がします。みんな不器用で素直な若者だし、幸せにしてあげたい。
だけど、「青春は取り戻せない」という一点において、アニメ版の描き方が、刃物のごとく鋭く、妙なリアリティがあっただけに、ちょっと凡庸というかご都合っぽくも感じてしまう。心の穴埋めとしては大いに楽しめたので、どちらがベターかというのは難しいところです。
本編は全9巻で、もう1巻ボーナストラック的な作品があるのだとか。こちらも近いうちに。