パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582
相変わらず、マイペースにJ.S.バッハを聴き進めています。今月特に繰り返し聴いているのは、掲題のオルガン曲。きっかけは、例によってStephen Malinowski氏による分かりやすいMIDIアニメーションの動画でした。
「フーガの技法」もそうですが、対位法を極めたバッハのほとんどの作品は、こうして映像化すると譜面の読めない初心者にとっても構造的な美しさが際立ちますね。映像のなかで、グレーで表示されているバーがこの曲の主題。つまり曲の冒頭に現れる、上昇して下降していくシンプルで物憂げな8小節のフレーズです。
パッサカリアとフーガ ハ短調(Passacaglia und Fuga c-moll)BWV582は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1710年頃に作曲したと推定されるオルガン曲の一つ。20回にわたって8小節の変奏を繰り返す曲である。
― パッサカリアとフーガ - Wikipedia
この主題の変奏が、形を変えて20回繰り返されるのが、先の動画の7分18秒までにあたるパッサカリアで、そのあとに同じ主題を使った4声の重厚なフーガが続きます。これだけ短い主題が何度も何度も繰り返されると、これはもうミニマル・ミュージックのようでもあります。
複数のシステムが、それぞれは複雑に動きながらも全ての瞬間で完全に同期していて、昂揚感を高めつつも、最終的にひとつに収束するという美しさはなんでしょうね。バッハを聴くまでは、音楽のこういう楽しみかたは知りませんでした。
パイプオルガンによる演奏では、この映像が素晴らしかったです。
そういえば先日、本屋で『音、音、音。』という本を立ち読みしていたら、バッハ・コレギウム・ジャパンの主宰でオルガン奏者の鈴木雅明氏のインタビューが載っていたんですが、初めてヨーロッパの教会でオルガンの音を聴いた感動が語られていました。曰く、巨大なパイプオルガンは、聴感上体感できないような低音も出すことができるのだそうで。サウンドシステムとセットになった楽器ということですよね。
アコーディオン編曲ではこれを。始めの2分くらいまで、カメラのフラッシュとシャッター音が異様に気になりますが、後半ものすごいです。以前シュテファン・フッソング氏がバッハのコラール前奏曲を弾いていたように、オルガンとアコーディオンの相性は(そもそもの楽器の成り立ちから言っても)、他の楽器と比べて抜群に良いですね。