Cristian Vogelの過去作と新アルバム
先日たまたま、渋谷のユニオンで中古CDを2枚発掘しました。ひとつは写真右側、カリレケのHybridのレーベルコンピ第1弾。カタログナンバーがHYBの時代シングルからの1番~10番の抜粋で、ごく初期の作品のため、こう言ってはなんですが取り立てて個性があるわけでもなく、コレクターズアイテムかと思います。
そして、左がクリスチャン・ヴォーゲル(Cristian Vogel)の96年のアルバム"Specific Momentific"。Tresorから"Absolute Time"や"Body Mapping"、"All Music Has Come To An End"といったフロア向けの名盤を連発する一方で、Mille Plateauxからエクスペリメンタル寄りの作品として発表されたアルバムですね。
私はもともとこれ、アナログで持っていて、DJでもよく使っていました。特に"Gigantic Tautological Machinery"が素晴らしいので、聴いてみてください(PVがあるのは知らなかった)。
ただやはり、どちらかというとリスニング用としてCDで聴きたかったので、中古で手に入って嬉しかったです。サウンドもまったく古臭くなく、むしろ昨今の音に近いような気がしていて。CDのクレジットを見ると、「mastered by nilesh at the exchange」とあって納得。この作品はレコードのカッティングだけじゃなく、CD版のマスタリングまでNilzさんが手がけていたんですね。
ところで、Cristian Vogelは最近どうしているのかなと。先日来日したNeil Landstrummほど噂を聞かないし、個人的にも作品は2000年の"Rescate 137"くらいまでしか買ってなくて、情報を追っていませんでした。で調べてみると、ちょうど今月、5年ぶりのテクノのフルアルバムがリリースされていました。
The Inertials [Shitkatapult] :: Beatport
http://www.beatport.com/release/the-inertials/912780
良いかも!というか、一時期興味を失っていたころと比べて、かなり好きな作品が多いかもしれない。あと、同時発売のシングル"Enter The Tub"に収録されているアルバム未収録の2曲が、ベルクハイン系の重いダブテクノでかっこいい。こんなのも作るんだ。これは買ってしまう。
atractivoquenobelloという英語のウェブマガジンに、インタビューが載っていました。
Managing Infinity | atractivoquenobello
http://www.aqnb.com/2012/06/13/cristian-vogel-interview-the-intertials/
読んでみるとこの"The Inertials"ってアルバム、リリースに至った経緯が面白くて、Pledge Musicという音楽アーティスト専門のクラウド・ファンディングのシステムを利用して実現したんですね。これ、素晴らしい仕組みかも。制作の進捗と、資金が目標金額を達成するまでのログが残っていて、興味深いです。去年に12月に立ち上がって、半年がたって実際にリリースされるまで、最終的には104人が"Pledgers"として投資している。海外ではこういうことになっているのかぁ。
ともかくNo Future世代のベテランがまだ頑張っていて嬉しいです。ビデオ見ると、相変わらず不健康そうなルックスではありますが。72年生まれだそうだから、まだ40歳なんだよね。