ファミコン風バッハ
2年くらい前、矩形波を変調していくとチェンバロの音色に限りなく近づく、ということに気付いて、ラモーの"Les Cyclopes"をアレンジしてみたことがあった。単にMIDIの音色を変えるだけだと思ってたんだけど、実際やってみると、上手く作るには意外とハードルが高いことが分かり、以来、ひそかにバロックとファミコンの相性の良さについて考えていた。
そもそも、対位法を強調して書かれたバッハの作品において、主旋律・対旋律・通奏低音の3要素は、ファミコンないしゲームボーイの3ボイス(同時発音数)にそのまま置き換えることができる。ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」があるなら、というわけではないけれど、J.S.バッハの楽曲のいわゆる8ビットアレンジをYouTubeで新たに見つけたので、紹介してみます。
「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」より、プレリュードとフーガ ト短調(BWV 847)。これはかなりアレンジ入ってるけど、完成度がずば抜けて高い!通常とは逆にフーガから始まって、途中で展開が派手になって一気にコナミサウンドになり、2分過ぎからプレリュードに繋がる。よく練られていて何度でも聴きたくなるなぁ。原曲はこれ。
「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」より、プレリュード ト長調(BWV 846)。平均律ならこれも。ちょっとリバーブがずるいけど、いいんじゃないでしょうか。原曲はこれ。
「4台のチェンバロのための協奏曲 イ短調(BWV 1065)」より第3楽章。元々かっこいい曲が、音色がソリッドなためにより攻撃的になっていて痺れる。原曲はこれ。この動画をアップロードした方は、その名も8bitBaroqueというアカウント名で、他にも淡々と古楽を8ビット化しているみたい。ステレオのパンの振りかたが、声部ごとによく考えられていて面白い。
「管弦楽組曲 第2番 ニ長調(BWV 1067)」よりエア。原曲は「G線上のアリア」としてもおなじみ。聴いて分かるように、すぎやまこういちさんがドラクエシリーズのお城の曲で実践していた音楽って、まさしくこれだよね。知らず知らずのうちに、刷り込まれてきたのかも。
西荻チャリティーライブ
上野公園周辺で開催が予定されていた『東京・春・音楽祭』のうち、曽根麻矢子さんと中野振一郎さんの両コンサートが中止になってしまい、今月行く予定だった3件のコンサートが全キャンセル。ミューザ川崎みたいに、会場が被害を受けたならともかく、こういう時こそ音楽だと思うんだけどなぁ。
代わりというわけではないけれど、先週日曜日は、西荻窪「THE"ロック"食堂」でのチャリティーライブ『偽善者たちの夜』に遊びに行ってきた。これは先日映画でも見た、元「たま」の石川浩司さん主催による三夜連続の突発?イベント。司会のコメディアン清水宏さんの仕切りとネタが素晴らしく、終始笑い転げた。他にもぶっ飛んだ詩の朗読あり、紙芝居あり、もちろん音楽ありで、アンプを通さない生音系の出し物は何でもありだったな。チャージ代わりの募金もしてきた。
ほんとは知久寿焼さんが来るという話だったんだけど、0時過ぎても来ないようなので、途中で帰ってしまった。ほんとに映画通りのキャラなんだね...。いつかライブで聴いてみたい。
実は、この前の週に、石川さんがプロデュースする同じ西荻の「ニヒル牛」という店に遊びに行っていた。アートギャラリー兼雑貨屋というか、要は作家が委託販売できる同人ショップのような。ただジャンルが多種多彩で、小物やアクセサリーから彫刻、CD、マンガ、詩集などなど。小さいお店ながら、隅から隅まで果てしなく見応えがあって、ちょっと圧倒された。オーナーのあるさん(石川浩司さんの奥様)による、ほんわかしたテイストのブログもおすすめ。パスカルズのCDを買いました。
ライブでの石川さんは、映画のとおり破天荒なパフォーマンスで、改めて人を楽しませる天才なんだなぁと。で、そういう力を持った人、あるいはそういう場を提供できるお店やなんかは、今みたいな時こそ普段通り仕事をするほうがカッコいいと思うな。しかも、ノーギャラとかじゃなく。チャリティーでお金を出すのは、お客さんだけで十分!
フーガの技法
相変わらず余震が続いてますが、こんなときこそ平常心、ってことで。
先週土曜日に行く予定だった、オルガン松居直美さんによる「J.S.バッハ:フーガの技法 BWV1080」全曲演奏会が、会場のミューザ川崎シンフォニーホールの地震被害により、中止となってしまいました。なかなか、通してオルガンで聴ける機会はないので残念。
個人的にもっとも親しんだ盤がグールドによるオルガン演奏のもの(SRCR-2622)なのだけど、YouTubeを徘徊していたら、ムジカ・アンティクワ・ケルン(Musica Antiqua Köln)の弦楽アンサンブルの音源がとんでもなく素晴らしかった。とても深みのある音で、いまの気分にもハマったのかなぁ。2007年の解散直前の映像みたい。
鍵盤楽器ソロで聴くと、すごく内省的でストイックな曲のように聞こえるけど、こうして聞くと華やかで聴きごたえがある。さっそくAmazonで昔の音源を見つけたものの、いまは流通の問題もありそうなので、とりかえずカートに入れたところでストップしています。
グールドさんだったら「コントラプンクトゥス4」のピアノ版がいい。オルガンよりもずっと淡々と弾いてて、まったくよどみなく、しかも感情がこもっているところがすごい。
状況報告
おかげさまで無事です。
3月11日14時46分の地震発生時は、横浜市の自宅2階で作業していました。強い揺れを感じて、念のため1階の様子を見に降りたところで、電力の供給がストップしました。直前についていたテレビでは、緊急地震速報として東北地方の情報が出ていたので、まさかこちらまで大きく揺れるとは思っていませんでした。震度5強だったとのこと。
築30年の自宅は、自分が知る限りこれまでで一番激しく揺れましたが、幸い目立った損傷はなく。被害といえる被害は、食器棚の中で小皿が2、3枚割れた程度で済みました。とはいえ、PCの上の棚がすべて倒れたり、自室のレコードやCD群が軒並み崩れたりで、それなりに後片付けが必要な事態には至りました。
困ったのが停電で、結果的に最初の地震直後から、夜の21時30分に至る6時間弱の間電気が止まっていました。日が暮れるまで猶予があったため、懐中電灯やロウソク類、あるいは電池駆動のラジオを準備することができました。通信機器の充電が十分でなく、Wi-Fiが使えないなかで、Android携帯のバッテリー残量だけが気になっていました。
また、直後から各方面に電話したものの繋がらず、SoftBankの電話・メールはほぼ使い物になりませんでしたね。Willcomの端末から、相模原市内の祖母に連絡がとれて、次いで外出先から戻った彼女に連絡がとれた。都内勤務の父親(SoftBank)と妹(au)にはすぐに連絡がつかず、父は日が暮れてから自力で帰ってきた。社用車で送ってもらったそう。
妹は夜半近くに、わざわざTwitterアカウントを取得して連絡をくれた。やはり携帯が用をなさず、私のTwitter上の書き込みを見てくれたらしい。
Twitterは今回、状況把握のために本当に役に立つことを実感しました。電話・メールが使えないなかでも、3Gのデータ通信は安定して使用できたし、とにかく電気がない状況下では頼りになりました。
で、こういうときは、良かれと思っても伝聞情報はRTせず、自分の状況と、自分だけが知りえた確実な情報だけを淡々とポストするのがいいと思います。改めて、「いまどうしてる?」というのが、提供すべき情報とそうでない情報の閾値になるんじゃないかなと。
情報源としてラジオを頼ったけれど、やはりテレビの情報量には及ばない。意外と助かったのが、PSPのワンセグチューナー。そもそもがワンセグ電波の掴みが悪い地域のため、携帯のワンセグが使えない、かつ緊急連絡のために携帯は温存しておきたい。そのためPSPに室内用ロッドアンテナを接続して、バッテリーが持つ限りテレビを見ていた。ごく小さな画面のなかであっても、ライブ映像として町ひとつがみるみる波に飲み込まれていく場面は、あまりにも衝撃的でした。
さて、0時過ぎに一度就寝したものの、深夜4時近くの長野震度6の地震で目が覚めて、そこから朝までテレビをつけっぱなしにしていました。ひっきりなしに緊急地震速報とニュース速報の警告音が鳴っていて、時たま、近くを走る高速から救急車のサイレンが聞こえてきたりで、寝たような寝てないような。有感地震も何度かあり、今も続いているようです。
なにかと備えておいて損はないと思います。通信機器は常に満充電状態にしておいて、状況報告はTwitterを利用するようにします。皆さまもお気をつけて。
たまの映画
吉祥寺バウスシアターで、上映終了間近の「たまの映画」を見てきた。バンド「たま」の元メンバーの活動を追ったドキュメンタリー。
有名バンドのドキュメンタリー映画というと、成功物語だったりとか、栄光と挫折とか、そういう切り口のものが多いなかで、ものすごく自然体の、平坦な作品だった。まず「たま」というバンドは、4人がそれぞれシンガーソングライターで、解散後も淡々と音楽活動を続けているということ。馴れ合うでもいがみ合うでもなく、食べていけるだけの仕事をして、その代わり「やりたいことだけ」やって生きている。
絵でも音楽でも、モノ作りに情熱を傾けたことがある人なら、彼らの生きかたは理想そのものに映るんじゃないかな。「たま」についてまったく予備知識のなかった私でも、そう思った。もちろん、それで食えているのは突出した個性や才能があるからだというのは、豊富に挿入されたライブのシーンを見れば、十分に伝わってくるけれど。
売れていた90年代の写真や映像が一切なく、あくまでも、現在の日常に焦点をあてた構成になっている。リアルで、普遍性のある物語。それだけに、ファン向けのように映ってしまうタイトルは、ちょっと惜しいかな。
作品中に、テーマとして「死」を扱ったセクションが出てくるのが印象的だった。
知久寿焼さんの、「死ぬまでの間をやりたいことだけで埋め尽くしたい」という言葉に共感した。
公開に際しての石川浩司さんのインタビューが素晴らしかったので、最後に引用。
明日か50年後かは分からないけど人間は死ぬから(笑)それまでをどう使うかは、大人になったら自分に任されている。それはちょっとだけ考えてベストな形を。この映画見たからって誰でも腹太鼓を叩けば食っていけると思ったらそれは間違いです!(一同爆笑)自分が一番いいバランスで長所を生かして「自分にとって一番楽しいことって何だろう」って原点に戻って考えた方がいい。
CINEMA TOPICS ONLINE|映画『たまの映画』「やりたいことをやる」という生き方~石川浩司、今泉力哉監督インタビュー(2)
http://www.cinematopics.com/cinema/topics/topics.php?number=1283&offset=0
古い曲をYouTubeにアップ
ふと思い立って、YouTubeをアーカイブ的に使っていくことにしました。有志によりアップされている往年のアナログ音源を引き合いに出すまでもなく、YouTubeのインターフェースで懐かしい曲を聴いたりするケースって、今すごく多い。CDで持っていても、わざわざ探してくるのが面倒だったり。手元にあって、すぐに出てくることが大事。
かと言って、特に系統だててアップしていくつもりもないので、ひらめいた曲から順に紹介していきます。
99年、まだMC-303とElectribe(EA-1)、それにSP-202のハードウェア機材だけでやっていたころの音源で、マスターはカセットテープです。ライブでも何度かやったかな。いろいろトリッキーな手法に挑戦していて、今聴いても頑張ってるなーと思う。ループはまだ実機のメモリーに残されているはずだけど、いま再現しようと思っても無理だろうなぁ。
これは新しくて、08年の12月に公開したもの。ここ何年かで作った曲のなかでは特に気に入っていて、DJでもしつこく使ってます。まだ320kのmp3を公開しているので、使ってもらえると嬉しいなと。
日曜日
先週日曜日の話。
都電荒川線に乗って、下町を散策してきました。たまたま乗った車両が、緑色の「7500形」という次の週末で引退してしまう古い車両で、止まる駅止まる駅で撮り鉄がカメラ構えていて楽しかった。それどころか、車内で(おそらく)見知らぬお婆さんに滔々と7500形の意義を語りだす鉄っちゃんが居たり、なんか和んだ。
荒川車庫前と隣の梶原駅の間あたり、下町情緒溢れまくる商店街で、いろんなへんなモノを見かけた。雑貨屋の脇に打ち捨てられた10円ゲーム機とか、旧ナショナルロゴが刻印された乾電池の自動販売機とか。カメラ持ってぶらぶら歩いてるだけでも、楽しめる。
三ノ輪橋のアーケード、「ジョイフル三ノ輪」の異世界感も衝撃だった。違う国に行ったみたい。帰ってGoogleマップ見たら、ここもストリートビューある!車でどうやって通ったんだろ。
喫茶店「あめみや」でお茶してたら日が暮れてしまったので、渋谷に戻ってご飯食べて帰ったんだけど、昼間だったら三ノ輪から上野くらいまで歩いてみても面白かったかも。このあたりの土地観が全然ないなぁ。
次の日曜日の話。
Wombのイブニングパーティー「STAR CHILD」に遊びに行く予定です。テックハウスにヒップホップに、オールジャンルのパーティーみたい。映像絡みでも実験的な試みがあるそうなので、楽しみ。
Colors of Spiceでも回してくれたP-xyちゃんが出るため、当日ディスカウント取れます。ちょっと興味あるって方は連絡ください。
STAR CHILD - WOMB WEB
http://www.womb.co.jp/#/womb/2011/03/13/star-child.html
お仕事について
おかげさまで、前職の繋がり等々で案件のご紹介をいただいており、仕事は今のところ順調です。ちょっと手いっぱいなくらいで、いろいろ考えていた営業プランが実行に移せないのが悩みどころ。特に、当サイトのリニューアルが中途半端なところで止まっていて、直近でどうにもしがたいので、とりあえずトップページのみ更新しておきました。
詰まってはおりますが、お見積りは随時いたしますので、ご相談ください。デザイン、コーディング、MTテンプレート制作、スマートフォン対応、その他Web周りのお悩み等、お力になれるかもしれません。なにぶん一人で動いているため、納期や価格では勝負できませんが、フットワークとクオリティで戦っていこうと思います。23区内はじめ都近郊であれば、お打ち合わせにも伺います。
とはいえ...、営業資料も用意できていないため、おそらく年度内はまだバタバタしています。引き続き、よろしくお願いします!
Womb、3DS、東京タワー
金曜の夜に、Wombの2E2L Recordingsのパーティーに遊びに行ってきた。学生時代の友人のSinkaiくんも参加しているレーベルで、3枚同時となるレーベルコンピのリリースパーティーという名目。Wombでがっつり遊ぶのは実は初めてで、話に聞いてたよりも普通に遊べる箱だった。メインフロアは変なふうに反響しまくって、低音がボワボワいってたけど、曲によっては綺麗に聞こえたりもしていたから、サブベースあたりの特定の帯域だけが厳しいのかな。でも、大箱は「音よりも雰囲気」と割り切ってるし、すごく楽しかった。
土曜日は、予約してたNintendo 3DSを引き取りに渋谷ビックカメラへ。
さっそくですがMiiはこれ。フレンドコードは「2664-2064-5297」です。
裸眼立体視は003SHで体験していたので驚きは少ないけれど、それでも写真とAR関連は十分楽しめる。ローンチのソフト何も買ってなくても十分と思える程度には楽しい。
でも、真価の発揮は5月にゲームボーイのバーチャルコンソールが投入されてからかな。GBは借りたものも含めて思い入れのがるゲームが多すぎて、片っ端から買ってしまいそうでコワイ。とりあえず早めにカエルの為にが出てくれれば。
翌日曜日、日本橋で東京マラソンを観戦しつつ、高島屋で絵画鑑賞。日比谷公園を散歩したあとに、流れで東京タワーに行ってきた。すごい、何年ぶりだろう。
蝋人形館は、後半のマニアック度がハンパじゃなく、プログレ秘宝館という感じだった。あんなに有名な観光スポットなのに、全体的に漂うモヤモヤ感とB級オーラは一体...。ずっとE2-E4が流れていた(というか、初めてちゃんと聴いた)。
あの施設ができた経緯がよく分からないけど、趣味人がお金を持つとああいう謎スポットが生まれるんだなきっと。夢あるね~。