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フランチェスコ・トリスターノ・シュリメ ピアノ・リサイタル

クラシック2010-02-21 22:30

以前ここでも書いた、ルクセンブルク出身の若手ピアニスト、フランチェスコ・トリスターノのコンサートに行ってきた。なかなかすごいものを聴いた。

まず驚いたのが、最初の自作曲とバッハの4つのデュエットを繋げて弾いたこと。前半は立ち上がってピアノ内部の弦を延々と4つ打ちで弾いたり、徐々に激しくなっていく暗めのミニマルミュージックなんだけど、後半からいきなり、めちゃくちゃ端正なまったく澱みのないバッハ。その瞬間、事前のインタビューで本人がそのことを「DJ」だと説明していたことを思い出した。同様に、ハイドンとその次の自作曲も続けて弾いていた。

私は、彼がStrings Of LifeとかThe Bellsをピアノで弾いてるっていうこと自体は、正直そんなに面白いと思っていなくて、出来はともかく別にアイデアとしては平凡だし、テクノは普通にクラブで聴きたいし。ただ、オリジナル曲とか、今回のプログラムを通して聴いてみて、単なる「弾いてみた」とは全然違う次元を目指しているんだってことはよく分かった。テクノ名曲カバーっていうのは、その過程で生まれた副産物なんだろうなぁ。

で、そういうアブストラクトなことをやっていながら、バッハに関しては、崩さず、付け足さずって感じの正確無比な演奏。なにかとグールドが引き合いに出されるのも分かる(例に漏れず、デビュー盤がゴルトベルクだし)。
フランス組曲第6番のサラバンドみたいな、ひたすら美しい曲をどう弾くのかと思ったら、左手を短く切ってビート感を残したまま、早めのテンポで弾いていた。逆に、その次のガヴォットはちょっと遅めに引いていたりして、このあたりの展開の作り方もDJっぽいなと思ったり。同じ80年代生まれで、テクノ的なダンスミュージックのグルーヴを内に持ったピアニストが、300年前の舞曲形式の曲を弾くってだけでわくわくするよね。

ストラヴィンスキーのタンゴって初めて聴いた。タンゴ奏者が発狂してバンドネオンを床に叩きつけているみたいな曲でとても良かった。アンコール2曲目の自作曲(未発表?)も完全にタンゴだったし、バロック~タンゴ~テクノという私の好きな要素が全部入っていたのは、ただの偶然じゃないと思えてきた。

物販で、01年のゴルトベルクとAufgang名義のアルバムを購入。そこでフライヤーを見つけたんだけど、3月5日にUNITで田中フミヤとイベントやるのね。フランチェスコ・トリスターノとしてクラブ・セットのライブをやるらしい。全く想像がつかない…。UNITにグランドピアノ持ち込むのかな??楽しみだ。

フランチェスコ・トリスターノ・シュリメ ピアノ・リサイタル
2010年2月21日(日)14:00@Hakuju Hall
F.T.シュリメ:ハロー(Hello)
J.S.バッハ:4つのデュエット BWV802-805
ハイドン:アンダンテと変奏曲 ヘ短調 Hob.XVII-6
F.T.シュリメ:水を求めて、それでも地球(Nach Wasser, noch Erde)
J.S.バッハ:フランス組曲第6番 ホ長調 BWV817
ストラヴィンスキー:タンゴ
ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの3楽章
アンコール
F.T.シュリメ:メロディー(The Melody)
F.T.シュリメ:クバナ
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