『Godzilla』
公開4日目に観てきました。いやーゴジラ超カッコよかったね!ていうかゴジラが超カッコいいだけの映画でした。別にネタバレがどうとかじゃなくて、シンプルに視聴覚体験のすごさではあるんだけど、私の場合まったく事前情報を拾わずに行ったことによる驚きが少なからずあったので、興味のある人は以下読まずに早めに観に行ったほうがいいと思います。って前置きをしたうえで。
ゴジラが出て殺す
いやなんか、先月初代のリマスター版を映画館で観たときに書いたように(リマスター版『ゴジラ』 | EPX studio blog)、ある種「詩的」で繊細な表現というのがゴジラ映画のあるべき表現の半分だというのは分かるんですが、もう半分、つまり怪獣が大暴れして街を壊しまくって脳内麻薬ドバーみたいな、「三歳児脳」にビリビリ来る表現が突き抜けてて、その意味で最高でした。これはいずれ、みんなで手を叩いて大笑いしながら外人4コマスタイルで観たい。
都市で戦うもんだから、その被害たるやまったく悪夢のようなもので、怪獣は無慈悲だし人間は無力だし。で無力なんだけども絵的にカッコいいカットがたくさんあって、って考えると、この映画における人間とは格闘技のレフェリーのようなものなのか。要するに主人公たちは手も足も出ないわけだけど、単に傍観者じゃなくて、引っ掻き回すんですよね。
確かにまあ、そこまで義理立てしなくてもというくらい、日本のゴジラに対するリスペクトは感じられて、別段話に絡んでくるでもない芹沢博士の存在感とか(口数が少なく説明的にならないあたりは特に好きだった)、あと恒例の「ヘンな日本」像とかは楽しませてもらいました。原発大爆発に始まり、大地震に大津波とか、他人事だと思ってやりたい放題な感じもそれはそれで。核の扱いがちょー雑みたいなのは、それ自体がハリウッド的なサービスだと思うし。
でもなんといっても、ゴジラの鳴き声が痺れますよね。これ、なんだか公式がSoundCloudにこれだけダウンロードフリーで上げてたりするプロモーション手法が面白いんだけど(ROAR by GodzillaMovie on SoundCloud)、この劇場を震わせる音声とともにバーンと登場するシーンはかなり熱くなれる。そこまで、周辺のこまごました事象をこと細かに描きながら徐々に盛り上げていく手法は、確かに同監督の前作"Monsters"の流れを汲むもののように感じました。
だいぶいろんな要素を詰め込んでしまった結果、全然キャラが立ってない登場人物がけっこういて、そこはまあ。そのわりに異様な権限を持った司令官とか、バスの運ちゃんの超判断とかは笑えました。あと嫁がすごいかわいいです。
それにつけても、何度「ジプシー!早く来てくれ」と思ったことか。これデルトロさんならまた全然違ったアプローチで作ったのだろうけど、とはいえ本人は悔しいだろうね。個人的には、完全に去年の『パシフィック・リム』でぼっこり空いた穴を埋めてくれる作品で、感動するとか良い映画とかそういうことじゃなくて、同種の視聴覚体験としてこれ以上のものはない感じで。
で関連して、日本のある時期の特撮技術のすばらしさは尊重されるべきだけども、それはそれとして、今のCGには全然かなわないし、過去の栄光にしがみつくスタンスはダメなんじゃないかとは思いました。CGのあの圧倒的な質量を踏まえた実在感はすごい。例の2012年の「特撮博物館」展にも行ったけれど、あれはかの時代に未踏の地を目指したことこそが尊いのであって、言ってみれば電気がない時代における蒸気機関のようなもので。この新しいゴジラのVFX的な先進性は、特撮とはまったく別の文脈で評価されるべきなのではと思いました。
パシリムと同じで、アレな層に向けてものすごい特化した作品なので、誰彼構わずおすすめという感じでは全然ないけど、家族とかパニック感を重視しているという意味では、こっちのほうがメジャー感はあるかも。機会があればまた公開中にまた観に行きたいし、BD/DVDが出たらチェックしたい。今回は2D字幕で観たので、次は3D吹き替えかな?
それにしても日本の地名でジャンジラってのはやばいね。