魔法陣グルグル展
続編となる『2』の単行本1巻の発売を記念した個展に行ってきました。場所は中野ブロードウェイ内のpixiv Zingaroという小さなギャラリーにて。
『魔法陣グルグル』は個人的に大きな影響を受けた作品で、そもそもDJとかテクノとかを知ったのもこれがきっかけのひとつだったのです(作者が趣味でDTMやDJをやっていて、作中や関連コメントにテクノネタが散りばめられていた)。
ご多分に漏れず、ドラクエ4コマで衛藤さんのトガったネタにハマっていた私は、中1のときに『グルグル』の単行本1巻が出たと聞いて、すぐに近所の本屋に買いに行った。それ以来、20年もの付き合い。
個展は、1巻表1イラストに始まるカラー原画の数々、キャッチーな名場面を中心とした生原稿、『2』の第1話のネームなどが、ぎっしり100点以上詰め込まれた内容でした。
目を惹くのは、パステルな蛍光カラーを多く取り入れたカラー原稿の美しさで、近くで見ると修正もそんなになく、思い切った線で描かれているのが分かる。単行本でグレースケールになってしまっていた元絵が、あんなにキレイだとは。あの色とか、当時ちゃんとガンガン本誌で印刷で出ていたのかなあ…。
生原稿は、懐かしいネタが載ったページが、全編からまんべんなくピックアップされていました。とはいえ、1巻からが多かったかな。ザムディン、カセギゴールドが台本を読むシーン、ベームベーム召喚などなど、このあたりの描き込みと丁寧なトーンによる画面の密度は、原稿用紙のサイズで見てもすごかった。同時に、やっぱネタが鋭くていちいち笑ってしまう。世界観に関する設定メモや、例の作中文字(アルファベットを置き換えたやつ)の表などもありました。
『2』のネームは、没ネームを含めた展示で、「あの」1話がどういう試行錯誤を経て生まれたかが、ざっくり追体験できる内容でした。この話、古参のファンにとっては完全に『グルグル』が帰ってきた、と思えるソリッドなネタとお話作りで、去年ガンガンONLINEで初めて読んだときは感動したな。没ネームも笑える。冒頭、(RPG風に)名前を入力してくださいと出るところと、学生になったニケがテストで名前を書く場面を引っ掛けていて、書く名前がなぜか「ふっきん太郎」っていう。
あとは、TVアニメシリーズの上映と、ファンクラブの会報の展示、シリーズ単行本メインの物販など。ファンクラブ、私は入っていなかったんだけど、ものすごいマメに会報を作っていたらしく、通し番号が50番台までいっていた。『グルグルランド』(公式ファンブック)より詳しい仕事場の紹介やネーム・作画プロセスの解説、インタビューなども読みごたえがありました。ドラクエ4コマでデビューする以前の作品も一部紹介されていて、意外と初期のさくらももことか、少女マンガやサブカル的な作風っぽかった。
こじんまりしたスペースに所狭しと作品が並ぶ様子は、まさにグルグルの世界そのもので、会期終了間際でしたが行けてよかったです。この作品の持つ絵本的なかわいらしさ、鋭くバカバカしいギャグ、エキゾチックさとデジタル的なガジェット感が同居するデザインの数々は、連載中の『2』でも健在。前作を途中で追えなくなってしまった方も(実は自分もその一人なのだけど)、ガンガンONLINEのバックナンバーから1話と最新話だけは読めますよ。
魔法陣グルグル2 - 漫画 - ガンガンONLINE -SQUARE ENIX-
http://www.ganganonline.com/comic/guruguru2/
もちろん単行本も買いました。いま前作もkindleで全部買えるみたいだし、便利になりましたね。