INDUSTRIAL:インダストリアルテクノって何?
そもそも「インダストリアルテクノ」っていったい何なのか、という話を書いてみたいと思います。特にリソースを引っ張ってくるでもなく、個人的な見解に拠るところが大きいので、そのあたりは差し引いて読んでください。
自分の印象としては、なにもこういうジャンルが脈々とあったわけでも、昨日今日ぽっと出てきたわけでもないと思っていて、去年くらいに気がついたら「そういう音」が「そういうふうに呼ばれていた」という感じ。最初に気付いたのは、(もうこのブログでは何度も言及しているけど)去年のRegis来日のときのPHUNK!!!のサイトで、そのように紹介されていて、へー、みたいな。
"industrial"って自体はふつーに「工業の」とかを意味する一般的な形容詞なので、私もレビューのときなんかに度々そう表現したことはあると思うんだけど、ジャンルとしてそういう風に括ると、確かにいろいろ類型が見えてくるかも、っていう。なので、どれくらい浸透しているのかはともかく、便宜的に「インダストリアルテクノ」というカテゴライズはアリかなと思っています。
"INDUSTRIAL"の裏コンセプトについて触れた前回の記事の通り、Downwardsに代表されるバーミンガム系のハードミニマルは、個人的には、パッタリ途絶えてしまったという印象があった。もちろん、00年代になってからもCounterbalanceとかBritish Murder Boysの動きは追っていたんだけど、周辺アーティストを巻き込んだムーブメントっていうか、シーンみたいなものがあるようには見えなかった。
ここのブログの記事を遡っても、Downwardsに対する恨みがましいまでの思いを切々と語ったミックス(Downwards For Papa : EPX studio)を録音したのは2年前だし。ほんと今思うと勝手に、自分の中では「終わったもの」として評価していたんだと思う。
だけど、私がBeatportから辿って知った事実は、そうじゃなかった!
バーミンガムからハードテクノを経由して続いている、いわばハードミニマルの"本流"が、最近では「インダストリアルテクノ」と呼ばれていること。スロバキア、オランダ、スペイン、そして日本で、流行に左右されない硬派な職人気質のアーティストが、人知れずアンダーグラウンドで活動していること。彼らの多くが、とっくにAbletonなどデジタルに移行していて、購入できる音源の中心がレコード屋からダウンロードストアに変わっていること。
そのことに気付いたきっかけが、Radialとの出会いと、Regisの来日だった。これは本当に嬉しかったっていうか、感激した。
「山で道から外れて遭難して、当てずっぽうに歩いていたら、実はそっちにも道がちゃんとあった」みたいな興奮。
Radialと「消えた(テクノ)シーン」 : EPX studio
http://www.epxstudio.com/frontline/2008/11/radials_deleted_scenes_from_planet_rhythm.html
その中で、日本発のアーティストやレーベルが積極的に活動しているのが、頼もしい!Takaaki ItohさんやGo Hiyamaさんは言うまでもなく、札幌のKuniaki Takenagaさんと"Dispired Industrials"、山形のPERSISTENCEさん、そして何と言っても今回ライブ出演していただくasagaoaudioさんですね。
また、身近でいち早くインダストリアルを採り入れたトラックを発表したのは、何を隠そうPresenceの1番でのフミアキさんです。この"Remind The Form"は、ココでは幾度となく貼っているPresence第2回パーティーのYouTubeのビデオで、本人がプレイしている映像を見られます。この曲は、茶箱のスピーカーで聴くとほんとに凄いんですよ。
という、出演者の紹介は、また別の記事で。
ところで、昨年のRegis、Oscar Muleroの相次ぐ来日は確かに事件だったけど、この流れは実は今年になっても続いているようで、さらに熱いことになってます。来月11日にはスペインのTsunami RecordsからChristian Wünsch、5月8日は、「インダストリアル・ゴッド(と紹介されている)」Surgeonが来ます。
これはもう、ハードミニマル第2革命が来てますね。間違いなく。この際、言い切ってしまいますが。
2009.4.4「EPX studio presents: INDUSTRIAL & Hard Techno New Waves」@茶箱(早稲田)
http://www.epxstudio.com/industrial/